色彩
■ 3.護衛任務

護衛任務当日。
集まった姫たちを見て、二人はため息を吐いた。
総勢11人。
うち3人は深冬、雪乃、茶羅であるため、それはいい。
また、周防家から慶一殿のご息女である、梨花と実花が来ている。
その二人も、茶羅の友人として、無理に彼らに近付いたりはしないからいい。


まぁ、困っている僕らを見て楽しんでいることには頭を抱えたくなるが。
それはそれとして、その他の6人は、見合い写真を送ってきた家の者。
出来ることなら関わり合いにはなりたくない。
まだ尸魂界側の穿界門の前だというのに、統率がとれていない状況に頭が痛くなった。


それぞれ護衛を連れて来るのかと思いきや、邪魔だからという理由で、誰も連れてきていないのだ。
いや、睦月と師走は一応朽木家の護衛ではあるが。
その上、茶羅、深冬、雪乃は自分の身を守ることが出来るくらいには腕が立つ。


本当に僕ら二人は必要なのだろうか、と青藍と橙晴は内心で愚痴をこぼした。
彼女らが何とかしてくれないかな、と二人は視線を彼女たちに向ける。
それに気付いた茶羅と雪乃が、姫たちに声を掛けて、二人に注目させたのだった。
ちなみに深冬は既に睦月の所へ避難している。


「皆様、今日の護衛は六番隊第三席朽木青藍、同じく第五席朽木橙晴の二人で務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。」
『また、朽木家より、護衛を二名お連れしております。睦月。』
「はい。本日はよろしくお願いいたします。」
『師走。』
「はい。よろしくお願いします。」


『本日は現世のご案内もさせて頂きます。事前に希望された場所に向かいますので、私どもの指示に従っていただければ幸いです。』
にこり、と微笑みながら言った青藍に、黄色い悲鳴が上がる。
『また、体調不良の際は、朽木家の護衛二人に申し出てください。彼らは医師でもありますので、なんでもお話しくださいますよう。』


「では、これから穿界門をお開き致しますので、地獄蝶を連れていることを確認して、順次私について来てください。」
『・・・開錠。』
あぁ、気が重い。
穿界門を開きながら、青藍は内心呟く。
橙晴に続いて次々に入って行く姫を見て、青藍は顔を覚える。
そして、最後に穿界門へと入ったのだった。


現世について全員が義骸に入ったことを確認し、街中へと向かう。
皆が現世で買い物を楽しみたいとのことだからだ。
『では、これから自由にお買い物をお楽しみください。ただし、決してお一人にはなりませんように。必ず数人でまとまって行動してください。よろしいですか?』
青藍の言葉に皆が頷く。


『それでは、ご自由にお楽しみくださいませ。』
言った瞬間、駈け出していく姫たちを見て、護衛四人は苦笑する。
その場に残った深冬と雪乃もまた、苦笑を零した。
とりあえず睦月と師走に付いて行かせて、青藍と橙晴は深い溜め息を吐く。


「貴方たちも、可哀そうねぇ。」
既に疲れている二人を見て、雪乃が同情するように言った。
『あはは・・・。そう思うなら、雪乃も護衛に回る?』
「それは嫌よ。私だって現世でお買い物するに決まっているじゃないの。」
『そうなの?じゃあ、橙晴を連れて行っていいよ。僕、この辺にいるから。あとそれとなく姫たちの跡を付いて行ってくれると助かる。』


「結局私を使う気満々じゃない。」
雪乃は腰に手を当てながら言う。
「まぁまぁ。雪乃は楽しむといいよ。僕が仕事をするから。・・・兄様は深冬をお願いしますね。」
『はいはい。いってらっしゃい。』
青藍はそういってひらひらと手を振った。


『・・・ふぅ。それで、深冬は何かしたいことある?買いたいものとか。』
二人になったところで青藍は漸く深冬に話しかけた。
「いや、私は現世のことがよく解らないから、青藍が連れて行ってくれると助かる。」
『ふふ。そう。じゃ、とりあえずぶらぶらしようか。・・・お手をどうぞ、お姫様。』
青藍は恭しく手を差し出す。


「・・・なんだそれは。」
深冬はそれを冷たく見つめる。
『え、酷い。乗ってくれないと僕、恥ずかしいじゃないの。・・・まぁ、いいか。行くよ、深冬。』
青藍はそう言って深冬の手を取って歩き出したのだった。

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