色彩
■ 2.興味津々

「・・・それは、気になるな。」
青藍の話を聞いて、白哉は橙晴をチラリと見ながら言った。
それに気が付いた京楽は楽しげな顔をする。
「なになに?橙晴ってば、そうなの?」
「・・・何の話ですか?」
楽しげな二人に、橙晴はそっぽを向く。


『へぇ。橙晴ってそうだったんだ・・・。』
「ははは。雪乃は手厳しいぞ。」
『そうそう。雪乃のげんこつはたんこぶが出来るくらいだし。』
「あはは。それは大変だねぇ。でも、雪乃ちゃん、いい子だよね。」
『そうですねぇ。この間、安曇様も良い女だ、とおっしゃっていましたよ。雪乃、赤くなっていたなぁ。』
青藍はそっぽを向いた橙晴に視線をやりながらからかうように言った。


「・・・父上。」
楽しげな皆の視線に耐えかねたのか、橙晴は白哉をじろりと睨む。
「いいではないか。私も雪乃はいい娘だと思うぞ。」
睨まれつつも白哉は楽しげだ。


『あはは。良かったね、橙晴。父上のお許しが出たよ。僕も雪乃はお勧めだなぁ。ちょっと気が強いけど、美人だし、賢いし、友達思いだし。その上、死神として申し分ない実力もあるし。』
「ははは。そうだな。あの子は本当にいい子だよ。」
「・・・十四郎さんまで。」
橙晴は唇を尖らす。


『まぁ、相手が誰であろうと、父上は文句を言えないからなぁ。橙晴の好きな相手を選ぶといいよ。』
「あはは。確かに。朽木隊長も無茶をしたことがあったねぇ。」
「はは。そうだったな。しかも漣のお蔭でその無茶が通ったというのだから面白い。」
『そうなのですか?』


「あぁ。漣が天音殿に口添えをして、その天音殿のお言葉があったから、白哉は緋真さんを朽木家に入れることが出来たんだぞ。」
「へぇ。それは、なかなか、今から考えると、複雑ですねぇ。」
橙晴は苦笑する。
「まぁ、漣は色々と無自覚だったからな。あの時は白哉に幸せになってほしい一心だったのだろう。」


『母上らしいですねぇ。・・・そうそう。ずっと疑問だったのですが、父上にとってルキア姉さまはずっと妹なのですか?あれだけ緋真さまに似ておられるのに。』
青藍に言われて、白哉は呆れたような視線を向ける。
「私を何だと思っているのだ・・・。」
『えぇ?だって、あんなに似ているのですよ?』


「似ていても、ルキアは緋真ではない。緋真は緋真で、ルキアはルキアだろう。それに、緋真とはルキアの兄になると約束したからな。」
『へぇ。じゃあ、その約束がなかったとしたら?』
「あはは。青藍、突っ込むねぇ。」
『だって、気になるじゃないですか。』


「・・・その約束がなければ、私がルキアを朽木家の養子にすることなどなかっただろう。ルキアと関わることもなかったかもしれぬ。」
白哉は目を伏せて言う。


『なるほど。では、緋真さまには感謝しないといけませんねぇ。いや、もともと感謝はしていますけど。』
「そうですねぇ。父上と緋真さまが出会って、そういう約束をしなければ、僕らとルキア姉さまは他人だったわけですからね。」
青藍と橙晴はそう言って頷く。


「ははは。二人とも、相変わらず朽木のことが好きだなぁ。」
浮竹はそんな二人を見て笑う。
「そりゃあそうですよ。ルキア姉さまは可愛いですもん。」
『そうそう。僕らの大切な姉さまです。』
青藍と橙晴はそう言って頷き合う。
それを見て、白哉は小さく微笑んだ。


『それで、春水殿は母上のような人がタイプって感じじゃないですけど、十四郎殿は母上のこと、どう思っていたのですか?』
青藍は楽しげに言う。
「あはは。よく解っているじゃないの。」
「・・・どう、とは?」
浮竹は若干動揺したように聞き返す。


『そりゃあ、異性としてどうか、という話です。』
「それは僕も興味がありますねぇ。」
二人に詰め寄られている浮竹を見て、京楽は楽しげに酒を呑む。
「・・・それを白哉の前で聞くのか?」


『えぇ。だって、父上は何か知っている様子ですし。』
青藍はそう言ってどこか楽しげな白哉の横顔を見る。
「・・・・・・一時期、好きだったかなぁ、という程度だよ。」
興味津々な様子に、浮竹は諦めたように呟いた。

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