色彩
■ 1.星見酒

『・・・で、何がどうしてこうなったのだろうか?』
夕餉の後、咲夜が今日は女性陣で一緒に寝ると言い出したために、深冬は彼女らに連れ去られていった。
そして、今青藍の目の前には布団が五組並べて敷かれている。


その部屋の障子をあけ放って、星を見ながら、白哉、浮竹、京楽が酒を呑み始めている。
ちなみに睦月は十二番隊から仕事の要請があり、技術開発局に呼び出され、そんな睦月に引きずられて、泣く泣く師走も技術開発局に向かった。
「それは、僕が聞きたいです・・・。」


並べられた布団に青藍と橙晴は首を傾げる。
まぁ、浮竹とともにやってきた京楽が、女性陣が一緒に眠るという話を聞いて楽しげに、じゃあ僕たちも一緒に寝ようか、と言い出したのが始まりなのだが。
始めは白哉が反対していたものの、京楽に根負けする形で今に至る。


「おやぁ?二人とも、そんなところに立っていないで、こっちにおいでよ。今日は星が綺麗だよ。」
既に若干酔っているのか、京楽は上機嫌だ。
「そうだなぁ。今日は月がないから、星が良く見える。」
珍しく酒を口にしている浮竹もまた、のんびりとそんなことを言った。


「・・・兄様、とりあえず、今日は呑みましょうか。」
そんな二人を見て、橙晴は諦めたように言う。
『あはは。そうだね。これはこれで、贅沢だ。』
それを見て、青藍は苦笑しつつも楽しげだ。


「今日、眠れるといいですね・・・。」
『ふふふ。それはそれで楽しいじゃないの。』
「僕らは明日も仕事ですよ、兄様。」
『眠くなったら、春水殿を放置して皆で寝てしまえばいいよ。』
「・・・はぁ。まぁ、そうですが。」


「・・・しかし、二人とも強いな。」
暫く星を肴に無言で呑んでいたが、浮竹が驚いたように言った。
『ふふ。そうですか?まだまだ行けますよ。』
「そうですね。僕もまだまだ大丈夫です。」
二人は余裕の表情で言う。
「あはは。それはいいねぇ。」
それを見て、京楽は楽しげに笑った。


「・・・あまり呑みすぎるなよ。」
それを見て、白哉が窘めるように言う。
『解っていますよ。僕らは明日も仕事ですからね。』
「兄様は、明日も仕事、というほど、今日は仕事をしていませんけどね。」


『あはは。まぁ、明日の仕事を今日やったからいいんじゃないかな。ね、父上。』
「・・・そうだな。今日私と橙晴がやった分は、明日青藍が引き受けてくれるだろう。」
白哉は楽しげに言う。
「なるほど。それもそうですね。」
『えぇ・・・。そんなぁ。』
「ははは。それは大変だな。」


『十四郎殿はいいですよねぇ。母上が三日分の仕事を終わらせているのですから。』
他人事のように笑う浮竹に、青藍は唇を尖らせながら言う。
「まぁな。深冬が攫われたと聞いて、漣はすごく心配していたんだぞ?」
「そうそう。十三番隊に行ったら、咲ちゃん、凄い速さで書類を捌いているんだもの。何事かと思ったよ。」
京楽はそう言って笑う。


『ふふ。お蔭で、今日の深冬は嬉しそうでした。』
そういいながら青藍は深冬の微笑みを思い出す。
「僕、深冬が笑うの初めてみました。」
『僕だってそうだよ。すごく驚いたんだから。』
「私もだ。後で安曇に自慢してやろう。」
白哉は悪戯っぽく微笑む。


『そうですね。安曇様に恨まれてしまいそうですけど。』
「あはは。確かにそうですね。あの人、意外と子どもっぽいところがありますからね。」
『そうそう。この間なんか、父上に追い出されてすごく拗ねていたんですよ?』
「あれは大変でしたねぇ。隊士たちも困っていました。まぁ、雪乃のお蔭で安曇様を別室に移動させることが出来ましたけど。」
「そうか。それは大変だったな。」


『父上、他人事ですよねぇ。僕、あの時雪乃にげんこつされたんですよ・・・。』
「「あはは!!」」
痛みを思い出したように言う青藍に、浮竹と京楽は笑う。
「げんこつって・・・。流石雪乃ちゃん。」
「白哉だって、青藍にげんこつをしたことはないだろう。」
「そうだな。」
白哉も楽しげに目で笑う。


「あれは、深冬のことをちゃんと雪乃に説明していなかった青藍兄様が悪いのです。」
『それはそうなんだけれどね・・・。だって、雪乃と顔を合わせる機会もなかったわけで。雪乃と加賀美君が僕抜きでも話すくらいには仲が良いとは思わなかったし。』
唇を尖らせながら、言い訳をするように青藍は言う。


「へぇ。雪乃ちゃん、加賀美君と仲良くなったの?」
『そうみたいですねぇ。まぁ、もともと婚約者ですからね。全く話さないということはないのかもしれませんが。』

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