色彩
■ 28.意地悪

「・・・なるほど。なんとなく予想が付いた。深冬。青藍でよければ好きなだけ使ってくれたまえ。これでもそこそこ使えるからな。何なら橙晴だって使っていいぞ。私が許可する。」
「はぁ・・・。」
咲夜の言葉に深冬はどうするのが正しいのか解らないらしい。


『そこそこですか。』
青藍は苦笑する。
「当たり前だ。白哉に比べればまだまだだ。今のところ、君が白哉に勝っているのは身長くらいだ。」
咲夜はそう言ってニヤニヤと笑う。


『相変わらず手厳しい。父上を超えるのはいつになることやら・・・。まぁ、精進しますよ。なんて言ったって、僕には橙晴と茶羅という味方が居ますからね!』
「僕らもそれに巻き込まれるのですね。それでは僕も期待に沿えるよう、精進いたしますよ、兄様。」


『頼りにしているよ、橙晴。』
二人はそう言って笑う。
「全く、頼もしい子たちだ。」
『ふふ。僕は橙晴に逃げるなと捕まえられてしまいましたからね。橙晴に言われなければ、僕は朽木家の当主になどなる気はなかった。』


「その代わり、僕は兄様の条件を呑みました。」
『そうだったね。皆、そのうち橙晴は父上の跡を継いで、六番隊の隊長になる予定だから、よろしく。』
「さらっとプレッシャーをかけるのはやめてください・・・。」


『あれぇ?じゃあ、隊長にはなれないっていうのかな?僕は必ず当主になるっていうのに、それはずるいなぁ。もしかして。自信ないの?』
橙晴の言葉に青藍は馬鹿にするように言う。
「まさか。言ったからにはなって見せましょう。そのうち兄様なんか敵ではなくなる予定です。」


『あはは。それは僕、負けないようにしなくちゃね。』
「この間一本取りましたから、兄様が負ける日も近いですよ。」
『あれはちょっとびっくりしただけだもん。』
「だもんとか言っても可愛くないですよ、兄様。そのあざとさに皆が騙されても僕は騙されません。」


『ひどーい!僕がいつ騙したっていうのさ。・・・ねぇ、深冬、こんな意地悪な橙晴に苛められたらいつでも言ってね。僕が苛めてあげるから。』
青藍は楽しげに深冬の顔を覗き込む。


「・・・意地悪は青藍だ。」
そんな青藍に深冬は呆れたように言う。
「そう、その通りだよ、深冬。この人、見た目と中身が一致しないから、気を付けてね。一体どれだけの人がこの見た目に騙されていることやら・・・。」
橙晴はそういって肩を竦める。


「あぁ。解っている。この間苛められたことを私は忘れていない。」
少し拗ねたように深冬は言った。
「ほう?青藍に何をされたんだ?」
深冬の様子に咲夜は興味深げに問う。


「・・・頬を抓られて言うことを聞かされました。」
『ちょっと、深冬!なんでそう誤解を招くような言い方をするかなぁ。僕は苛めてなんかいないよ?それに素直に頷かない深冬だって悪い!』
「嘘だ。私はあの後頬が真っ赤になって橙晴と草薙先生に笑われた。」


「ほう?それは少し躾が必要なようだな・・・。」
それを聞いた咲夜は黒い笑みを浮かべる。
『いや、あの、母上?あの、何か、霊圧が上がっていますよ・・・?』
それに気付いた青藍は顔を青褪めさせる。
「あの時の兄様、大人げなかったですもんね。」


『ちょっと、橙晴!?』
「父上も呆れていましたよ。」
『そんなぁ・・・。』
「へぇ・・・。それほどのことをしたのか。青藍、覚悟しろ。私が直々に叩き直してやる!」
咲夜はそう言って青藍に殴り掛かる。


『うわ!?母上、危ないですって!本気すぎません!?』
「本気だからな。」
『うわ、危な!でも僕、あのあと二人にご褒美あげに行ったのに!』
「問答無用。こんなに可愛い子のほっぺたを抓るなど、言語道断。」


『えぇ!?・・・みんな、僕、ちょっと抜けるね!父上に言っておいて!』
咲夜の攻撃を避けながら青藍はそう言い残して窓から逃げていく。
「こら、青藍!逃げるな!!」
そんな青藍を咲夜は追いかけていく。
その姿を一同は呆れたように見届けた。

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