色彩
■ 15.仲間

『でもね・・・。』
青藍はそこで目を上げる。
『橙晴にはそれを見抜かれていた。それでも、独りで逃げるなんて許さないって。叱られてしまったよ。僕たちを信じてくれって。力になるからって。』
その言葉は力強かった。


『茶羅になんて、そんなことを考えていたのかって、泣かれてしまった。どうして私たちを信じないのって。兄様は一人のつもりかもしれないけど、周りにどれだけの人が居るか解っているのって。』
思い出すように言って、青藍は少し泣きそうになる。


『二人の言葉が痛かった。そして気付かされた。僕にはいつだって家族や友人や仲間が居た。だから僕は信じようと決めた。橙晴を、茶羅を、君たちを信じる。君たちが僕を信じていてくれる限り、僕は自分自身を信じられる。だから僕は、朽木家の当主になる。』


「・・・お前、そういうの、ずるいよ。」
青藍の言葉に侑李は呟く。
『え?』
「どうしよう、僕、ちょっと感動してる。」
続いて京もまた呟いた。
「僕も。青藍さぁ、たまに、すっごくずるいよ。僕ちょっと泣きそう。」
キリトは涙目だ。


「これが無自覚だったら私、貴方を殴るわよ?」
「あはは。確信犯でも殴りたいけどね。」
雪乃と蓮はそんなことを言う。
『えぇ!?なんで!?』


「今の言葉を聞く限り、僕らはずっと青藍のそばに居るみたいだよ。」
そう言って蓮は微笑む。
「むしろ、私たちが居ないとダメって話よね。」
「巻き込んでいいとは言ったけど、こんなに堂々と巻き込みに来るとは思わなかったよ。」
雪乃とキリトはあきれ顔だ。


「そうだね。それも僕ら、中々重要な位置に居るらしいし。」
「はは。それは大変そうだな。」
京と侑李は呆れたように笑った。
『あの・・・皆、どうしたの?』
青藍は困惑したように首を傾げる。


「でも、これが青藍だったね。」
「そうだね。」
「気付かないうちに巻き込まれているよりはましだわ。」
「だな。」
「じゃあ、仕方ないか。」
五人はそんなことを言って笑いあう。


「・・・青藍。僕らは、君の力になるよ。」
「青藍が朽木家の当主になったって、青藍は青藍だ。」
「俺たちじゃ、出来ることは少ないけど、お前を信じることは出来る。」
「僕たちは、青藍の味方だよ。」
「そうね。朽木家の当主なんて大きなものを一人で背負う必要はないわ。私たちに出来ることがあれば何でも言ってくれて結構よ。貴方の信頼に応えて見せるわ。」


『皆・・・。』
「全く、咲夜さんの言ったとおり、青藍との付き合いは長くなりそうだね。」
「そうっすね。俺たち、今後も苦労しそうだ。」
「全くだよ。僕らの人生までが、いつの間にか青藍に巻き込まれているんだから。」


「もし、神というものがいて、こうなることが解っていて僕たちを出会わせたのだとしたら、感謝すべきなのか、抗うべきなのか・・・。」
「そうね。でも、お蔭で人生退屈しなさそうだわ。」
「「「「確かに。」」」」
五人はそう言って微笑む。
それを見て青藍はほっとしたように微笑んだ。


『皆、これからもよろしくね。どうか、僕の力になってくれ。』
「「「「「もちろん。」」」」」
青藍の言葉に皆が頷いて、部屋には朗らからな笑い声が響いたのだった。

[ prev / next ]
top
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -