色彩
■ 14.決意表明

三日後、青藍は友人たちを呼びだしていた。
朽木家を継ぐことを報告するためである。
正式に朽木家の次期当主として、現当主、および朽木家の家臣に認められたのだ。
すでに家族にはその決意を伝えた。
皆が力になると言ってくれた。


次に伝えるべきは彼等である。
青藍はそう考えて、彼らを呼び出したのだ。
僕は、彼らを信じると決めた。
蓮、侑李、キリト、京、雪乃。
青藍はすでに、この五人を外して将来を考える気はない。
彼らが信じてくれる自分であろうと考えているからである。
その証を彼らに示したかったのだ。


『皆、急に呼んだりして、ごめん。』
琥珀庵の一室で、青藍は口を開いた。
「構わないわ。何か、重要な話があるのね?」
『うん。僕の決意を聞いて欲しくて。・・・聞いてくれるかな。』
青藍はそう言って五人の顔を見た。


「もちろん。僕らで良ければ、聞かせてもらうよ。」
蓮の言葉に皆が頷く。
『ありがとう。家族にはもう伝えたから、君たちにも伝えなきゃと思って。この間のように怒られるのは、もうごめんだから。』


「へぇ。あれは無駄じゃなかったみたいだな。」
「そうだね。青藍はあれで学習したらしい。」
「よかった。僕、青藍殴るとか、嫌だもの。」
『うん。僕も君たちに殴られたり泣かれたりするのは嫌だ。』
青藍はそう言って苦笑する。
そして、一息ついた。


『・・・僕は、朽木家を継ぐよ。』
青藍は凛と言い放つ。
その言葉に、五人は目を丸くした。
『僕は、朽木家の次期当主だ。正式にそれが決まった。時期に発表があるだろう。・・・その前に君たちには伝えておきたくて。』


「・・・青藍、それは、君が長男だから仕方なく当主になるというような話ではないんだね?君が、自分で決めたんだね?」
蓮は青藍に問う。
『うん。僕が、当主になると決めた。』
「あの朽木家を背負うというのね?」


『そうだよ。僕が朽木家の全てを背負って立つ。朽木家の誇りを僕が受け継ぐ。僕が、朽木家を導く。僕のこの手にはあらゆるものが握られるだろう。時には命さえも。でも、僕はそれを引き受ける覚悟を決めた。』
はっきりとそう言った青藍に、五人は気圧される。


『・・・ずっと、僕の中には、朽木家の当主になるという選択肢があった。でも、僕はそれから逃げていたんだ。これからの朽木家の当主は、朽木家だけじゃなく漣の力まで守らなければいけない。そして、この間伝えたように、僕には霊妃がそばに居る。僕自身が争いの種になる可能性もある。だから僕は、いつでも姿を消すことが出来るように当主になることを避けていた。そうすれば、すべてを守ることが出来るから。母上が苦しめられる必要もなくなる。すべて僕のせいにして、僕が居なくなれば。』
そう言って青藍は目を伏せる。


『・・・僕が居なくなれば事態が収拾するようにことを運ぶつもりだった。母上が逃げたように、そうなったら僕も逃げるつもりだった。だから、朽木家の当主になるつもりはなかったんだ。朽木家の当主になる道を選べば、僕は逃げられない。僕自身が朽木家を巻き込んでしまうことが怖かった・・・。』
そう言った青藍が抱えているものの大きさに、五人は改めて気づかされる。

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