色彩
■ 27.反省

「あーあ、青藍が雪乃泣かした。」
「秋良様に報告だね。」
「うん。後で青藍のこと苛めてもらおうね。」
それを見た三人は口々にそんなことを言う。


「まぁ、その前に一回殴らせろ。なんかお前見てたら腹立ってきた。」
「うん。なんだか、僕もすごく腹が立ってきたよ。」
「そうだね。僕らがどれだけ心配しても、青藍解らないみたいだし。ついでに僕ら十三番隊の大切な隊長を共犯者にしたうえに、大切な副隊長にも心配かけたみたいだし。青藍、次、十三番隊にきたら、皆で袋叩きにするからね。」


『!!!』
キリトのそんな恐ろしい発言に青藍は身を震わせる。
「「「というわけで・・・。」」」
三人はそう言って青藍を放す。
するとすぐさま、侑李が青藍の頭に手刀をいれた。


『いだ!』
次に京とキリトは青藍の左右の脛に蹴りをいれる。
『!!!』
その痛みに青藍は声も出ないらしい。
そして最後に蓮がそんな青藍の腹にとび蹴りを加えた。
青藍は飛ばされて地面にしりもちをつく。
それを見た四人はパンパンと埃を落とすように手を叩いた。


「・・・さて、青藍?何か僕らに言うことは?」
蓮は恐ろしい微笑みで青藍に問う。
青藍はそれに軽く悲鳴を上げる。
「青藍?」
もう一度名を呼ばれた青藍はびくりと身を震わせた。


『・・・心配かけて、ごめん。』
「他には?」
『・・・何も言わなくて、ごめん。』
「まだあるよね?」


『・・・隠し事をして、ごめん。急に居なくなって、ごめん。頼らなくて、ごめん。泣かせて、ごめん。』
言いながら青藍は俯いていく。


あぁ、なんて、情けない。
母上に心配をかけるなと言っておきながら、僕自身が周りに心配をかけていたなんて。
人のこと、言えないじゃないか・・・。
皆の言葉が、痛いなぁ。
これは流石に反省しなければ。
こんなに、心配、させたんだ・・・。
じわり、と青藍の瞳に涙が溢れてくる。


「青藍。顔を上げて。」
蓮に言われて青藍は顔を上げる。
「・・・何情けない顔をしているの。僕らが怒った理由、解った?」
『うん。ごめんなさい。』


「それならいい。次はもう、こんなことしないでね。次こんなことがあったら、僕、本気で青藍のこと殴るから。ていうか、皆で本気で袋叩きにするからね。」
「蓮さんの言うとおりだぞ。まだお前には敵わないけど、次はもっと力をつけてるから、この程度じゃすまないぞ。」
『うん。』


「・・・僕らは、青藍になら巻き込まれてもいいから、君の友人なんかやっているの。青藍が相手だからそれでもいいと思うの。解った?」
『うん。』
「巻き込んでくれた方が心配しなくて済む。僕らじゃ大した力に慣れないのは解っているけど、僕らにだって出来ることはあるんだから。」
『うん。』


「・・・そうよ。お父様を巻き込むなら、ついでに私も巻き込まれるんだから。だったら最初から私を巻き込みなさいよ。」
『うん。・・・心配してくれて、ありがとう。』
青藍が言うと、五人は呆れたように、でも、安心したようにため息を吐いたのだった。


「あの青藍を殴って叱りつけることが出来るなんて、あの子ら、さすがだねぇ。」
「はは。そうだな。しかし、青藍が竜巻とは言いえて妙だ。」
「そうだな。青藍が竜巻ならば、咲夜は台風の目、と言ったところだな。」
「あはは。違いない。」


「否定したいところだが、今回私は何も言えないな・・・。」
白哉の言葉に咲夜は苦笑する。
「だが、青藍は本当に良い友人を持ったな。」
「あぁ。青藍にはあのくらいが丁度いいのかもしれぬ。」
「ははは。確かにそうだ。」

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