色彩
■ 26.友人たち

「「「「「青藍!!」」」」」
天音と入れ替わるように駈けてきたのは、侑李、京、キリト、雪乃、蓮の五人である。
『皆!』
その姿に青藍は目を輝かせる。
『皆無事で良かった。』


「それはこっちの科白だ。」
「そうだよ。何があったのかちゃんと説明してくれるんだよね?」
「そうそう。また僕らに隠し事して・・・。」
「そうね。本当に学習しないわね。」
「うん。今回は流石に僕もどうかと思うよ。」


『え?皆どうしてなんか刺々しいの?』
首を傾げた青藍に、五人は大きなため息を吐く。
「朽木隊長、咲夜さん。」
「「なんだ?」」
「これから僕たちが青藍に何をしても怒らないでください。」
「この人、ちょっと痛い目に遭った方が良いようですわ。」
「そうだな。」


「侑李、京、キリト。・・・青藍を捕獲。」
「「「はい!」」」
『うわぁ!?何!?』
蓮に言われて三人は青藍を捕まえる。
そして青藍を雪乃と蓮の前に引き出した。


「・・・青藍?今回、突然咲夜さんが拘束された上に、朽木隊長が一番隊で軟禁状態になったわけだけれど。」
蓮がにっこりという。
『うん?そうだね。』
「そして貴方までも姿を消していたわよね?朽木家に行っても門は閉ざされていたわ。」
雪乃もまた微笑んだ。


『うん。』
「六番隊に行っても青藍は非番だっていうし?橙晴や茶羅にも連絡はつかないし。」
「私は六番隊に居たけど、青藍の居場所を知る人は誰も居なかったわ。」
『それは・・・そうだろうね。』
青藍はそう言って苦笑する。


「それなのに、お父様は青藍の手伝いをしているとか言って面白そうにあちらこちらへ出かけていくし。」
「そうそう。僕は周防家に行ったけど、弥彦様が刑軍に追われているようで、皆さんその援護で忙しそうにしているし。何故そんなことになっているのかと聞けば、青藍の頼みだとおっしゃる。」


『あはは・・・。前から頼んでいたから。』
「そう。「前から」頼んでいたのよね?」
「ということは、今回の件、予想していたんだよね?」
そう言う二人から徐々に笑みが消えていく。


『うん・・・。』
二人の表情から笑顔が消えていくことに青藍は徐々に何か気付いたらしい。
「「・・・何故それを僕(私)たちに言わないの!」」
二人は同時に青藍を怒鳴りつける。


『あは、は・・・。』
青藍はそんな二人に乾いた笑いを零した。
「この三日間、私たちがどれだけ心配したと思っているの!」
「青藍にまで何かあったらどうしようって、心配で。お蔭で仕事なんて手につかなくて大変だったんだから!隊長のこと取り逃がして、珍しく副隊長に怒られたじゃないか!」


『・・・でも・・・皆を巻き込むわけには・・・。』
怒る二人にビクつきつつも青藍は言う。
「・・・そう言うことを言うのはこの口かしら?」
「・・・そうみたいだね。じゃあ、この口いらないのかな。」


『いひゃい!いひゃいよ!』
声を冷たくした二人に思い切り頬を抓られて青藍は涙目になる。
「こらこら、大人しくしろ。」
何とか逃れようとじたばたとするが、侑李たちにさらに抑え込まれてしまった。


「あのね、言っておくけど、これまでだって私たち皆青藍にいろんなことに巻き込まれているのよ!それなのに今さら巻き込むわけにはいかないですって?貴方馬鹿じゃないの!巻き込まれるのが嫌なら、わざわざ貴方の傍になんて居ないわよ!」
雪乃の目には涙が溢れていく。


「本当だよ。青藍は何時だって竜巻みたいに周りを巻き込むんだから!青藍、そこのところ、全然解ってない!」
『・・・。』
「それでも私たちは貴方の友人をやっているのよ。何故だか解る?その立派な脳みそでよく考えなさい!それが解らなくて、何が三席よ。ふざけないで!」
そう言った雪乃の目からついに涙が零れ落ちた。

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