色彩
■ 22.双子の脅し

「十五夜様を黙らせるとは、流石父上です。・・・そうそう、私、穢れを集めた主犯を見つけたんでした。もちろん、その穢れの使い道も。」
茶羅がある書類をひらひらとさせながら言った。
「御嬢さん、容赦なく脅しをかけていましたもんね。」


「お黙りなさい、師走さん。私は情報を提供してもらっただけよ。脅してなんかいないわ。」
「茶羅、危ないことはしちゃ駄目って言ったじゃないか・・・。」
橙晴が呆れたように言った。


「あら、大丈夫よ。私が危なくなれば、橙晴が助けてくれるのでしょう?それに、父上や青藍兄様だっておられるわ。何の心配もなくてよ。」
「それはそうなんだけどね・・・。そう言うことじゃなくて・・・。」
「・・・茶羅、あまり無茶はするな。」
白哉が静かに言った。


「母上を助けるためですもの。無茶をするなという方が無茶ですわ。父上だって無茶をなさった様子ですけど?また羽織がボロボロになって居られますわ。」
「・・・私はいいのだ。」
茶羅から目を逸らしつつ、白哉は気まずそうに言った。


「父上が良いなら、私だって無茶をしてもいいはずです。それに、そこで眠っている青藍兄様は相当な無茶をしておりました。もちろん橙晴だって。そして私も朽木家の一員です。大切なものを守るために、無茶をするのは当然です!姫だということを言い訳にして、邸に籠って震えていていいはずがありません!!」


「・・・。」
言われて白哉は黙り込む。
「ふふ。白哉を黙らせるとは、茶羅もやるようになったなぁ。」
咲夜は面白そうに言った。


「母上には敵わなくてよ。父上は一度も母上に敵ったことなんてないんですから。」
「確かにそうだ。」
二人はそう言って微笑みあう。
「・・・父上、茶羅は母上にそっくりですね。」
「そのようだな・・・。」
それを見た橙晴と白哉は諦めたように言った。


「・・・さて、主犯は見つけましたけれど、この状況を見る限り、この事態の収拾はついているようですね。それでは、いまさら主犯を名指しにしたところで場をかき乱すだけだわ。ということで、この書類はもういらないわね。」
茶羅はそう言うと持っていた書類を破って捨てる。


「これでよし。・・・ですが、私たちが貴方方の弱みを握っていることをお忘れなきよう。次にこのようなことがあれば、容赦なくあなた方を潰して差し上げますわ。もちろん、命があるとは思わないことですよ。」
茶羅はそう言って微笑む。


「そうだね。その時は僕も手伝うよ。四十六室は僕ら兄弟になんの力もないと思っていたようだけれど、僕らはそんなに無能ではない。実を言うと、今回、父上は全く手を出していない。軟禁状態だったというのもあるけれど、父上の命が下る前に僕ら兄弟が動いていたからだ。」


「お蔭で私はやることがなかった。ただ待つ、というのが、あれほど辛いとは。」
白哉は苦笑するように言う。
「当然ですわ。私たち兄弟は皆、朽木家の当主になるべく育てられたのですから。私たち、誰が当主になっても、父上と同じことが出来ますわ。」


「全く、頼もしい子たちだ。」
「そうだな。」
「頼もしいっていうか、末恐ろしいねぇ、浮竹。」
「ははは。そうだな。俺たちが負ける日も近いかもしれん。」
「俺は既に勝てる気がしませんよ・・・。」


「あはは。・・・それでも僕ら二人では青藍兄様には敵わない。」
橙晴はそう言って苦笑する。
「そうね。青藍兄様は母上が拘束されたと聞いた時、準備をしていたように指示を出していたもの。四十六室が母上を拘束することすら、予想していたのね。」


「私の所に伝令に来た時、すでにすべての手配がしてあったからな。そして、すべてが青藍の予想通りに動いていた。」
「流石青藍兄様だわ。」
彼らの言葉に、四十六室の者たちはぞっとしたように青藍を見たのだった。

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