色彩
■ 21.権力には権力を

「沈黙は肯定ととるよ。・・・さて、話は終わったようだね。阿万門ナユラ。」
「はい。」
「そなたは見込みがあるようだ。四十六室の再編を命じる。人選はそなたに任せよう。」
「では、お許しいただけるのならば、この場に居る者たちに任せて頂きたい。」
ナユラは十五夜を見て言う。


「理由は?」
「この者たちの意識が変わらなければ、他の者を選んだところで四十六室が変わることなどありますまい。」
「そうか。許可しよう。・・・では、新しき四十六室に次ぐ。今後、我らを害することがあれば、霊王の裁きが下ろう。心してその任に就くがいい。」
十五夜のその言葉に四十六室の者たちは首を垂れるのだった。


「・・・あら?少し遅かったみたいね。貴方が暢気に捕まっているからよ。」
「俺だって、暢気に捕まっていたつもりはなかったんですがね・・・。御嬢さんこそ捕まっていたじゃないですか。」
「私は貴方のために自分から捕まったの。貴方みたいに無様に気絶させられたりしていないわ。」
「御嬢さん、言葉がきついですよね・・・。」
聞こえてきた声に皆がそちらに視線を向ける。


「茶羅?それに師走さんだ。」
勇音の治療によって目を覚ましていた橙晴が目を丸くする。
「橙晴。無事で何よりだわ。青藍兄様は・・・眠っているのね。父上も母上もルキア姉さまもご無事で何よりです。十五夜様までいらっしゃるのね。」


「やぁ、茶羅。久しぶりだね。また綺麗になった。」
「ふふ。ありがとうございます。十五夜様もお変わりありませんね。相変わらずお若いわ。」
「そう?僕、若い?格好いい?」
「えぇ。とても。」


「じゃあ茶羅、僕と結婚してくれる?」
茶羅に言われて十五夜は嬉しそうに聞く。
「それは嫌です。私、父上や兄様や橙晴よりも格好いい人じゃないと嫌ですもの。」
しかし茶羅はさらりとそんなことを言う。
「えぇ!?酷い・・・。僕の方が偉いんだよ?」


「偉いのと格好がいいのは別の話ですわ。それに、十五夜様が相手では、父上が許してくれませんもの。ねぇ、父上?」
「当然だ。何故十五夜などに茶羅を渡さねばならんのだ。分を弁えろ、糞爺。」
白哉は吐き捨てるように言った。


「糞爺!?最近口が悪すぎるぞ、白哉!!!大体、僕の咲夜を奪ったのだからそれくらいいいではないか。咲夜は僕の婚約者だったのだぞ!」
「咲夜はそれを知らなかったがな。その上、咲夜の眼中に貴様の姿など始めから入っておらぬ。入っていたとしても、咲夜は迷わず私を選ぶだろう。」


「・・・。」
十五夜は悔しそうに無言で白哉を見つめる。
「白哉様には敵わないのですから、いい加減諦めればよろしいのに。」
そんな十五夜を見て、響鬼が呆れたように言う。


「・・・いつか絶対咲夜を攫ってやる。」
「出来るものならやってみろ。攫ったところで咲夜は自分で私の元へ帰ってくるだろうが。」
白哉が勝ち誇ったように言う。
そう言われては、十五夜は黙るしかないのだった。

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