色彩
■ 19.霊王の御物

「さて、では、僕は僕の仕事をしなければね。四十六室の者たちは何処に居る?」
十五夜はそう言ってあたりを見回す。
「あぁ、僕が案内するよ。結界を張っておいたんだっけ。」
京楽はそう言って四十六室の者たちの方へ向かう。
十五夜と響鬼はそれに続いた。


「・・・さて、では今回の騒動について、説明してもらおうか。」
十五夜は結界から出てきた者たちを見て、静かに言った。
「貴様、誰だ!?」
「何故お前のようなものに説明せねばならぬ!」
そんな十五夜に数人が抗議の声を上げる。


「あぁ、そうか。僕を知らないのか。」
「そうみたいですね。相変わらず、四十六室は阿呆ばかりです。」
響鬼はそう言ってため息を吐く。
「あはは。響鬼君も容赦ないよねぇ。」


「全く、自らが霊王の一部だと信じて疑わない四十六室が聞いて呆れますね。・・・この方は、漣十五夜。霊王様が直々にお選びになられた、霊王家の筆頭家臣にあらせられます。」
「何だと・・・?」
「漣十五夜?まだ生きていたのか・・・。」
響鬼の紹介にそんな声が上がる。


「漣十五夜様、あの、朽木咲夜は尸魂界に恨みあるもの。罰せねばなりますまい。」
「そうでございます。ご覧ください。瀞霊廷がこれほど破壊されております。」
「我らに刃を向けたということは、霊王様に刃を向けたことと同義にございましょう。すぐに、あの者に罰をお与えください。」


十五夜に傅き、そんなことを言う者もある。
そんな彼らに十五夜と響鬼は深いため息を吐いた。
「・・・僕がいつ、君たちに発言の許可を与えたのかな。」
十五夜が静かに言うと、彼らは小さく悲鳴を上げて沈黙した。


「静かになったようだね。・・・さて、君たち、何故僕がわざわざ霊王宮からやってきたのか、理由が解るものはいるかな?」
十五夜はそう言って微笑む。
「いる訳ないじゃないですか。この人たちは、咲夜様を利用することが霊王の意思だと考えていたのですよ?」
呆れたように響鬼は言う。


「確かにそうだね。・・・では、そんな君たちに本物の霊王の意思をお伝えしよう。これから僕が話すことが霊王の意思だ。君たちがやったこととの違いに気を付けながら聞くがいい。」
その言葉と同時に十五夜の雰囲気が威厳あるものに変わる。


「まず、漣家についてだが。漣家の巫女は、霊王様のためにある。彼女らの舞は霊王様の至宝である。王の御物に手を出すなど、言語道断。」
「漣家の者が霊王様のそばに居る。つまり、霊王様と漣家には強いつながりがあるということです。」


二人の言葉に、四十六室の者たちは息を呑む。
「次に、漣咲夜・・・今は朽木咲夜だったな。あれは漣家の巫女の中でも特別なものである。つまり、霊王様の至高の御物。」
「貴方方はこれを穢し、利用しようとしたわけです。」


「次に、朽木家についてだが。尸魂界の四大貴族として、朽木家は重要な役割を果たしている。そして、漣家を受け入れた瞬間から、朽木家もまた、霊王の加護の下にある。四十六室はこれを害した。」


「朽木家は、昔から漣家と縁が深い。ましてや朽木家には愛し子が居られる。霊王より加護を賜った朽木家が霊王に謀反などと考えるはずがありません。そうでしょう、現朽木家当主、朽木白哉様。発言を許可いたします。」
響鬼は白哉に視線を向けて言った。


「当然だ。漣家から漣咲夜を迎え入れる時、我が朽木家は漣家に誓いを立てた。すでにその誓いが破られたというのならば、私は今ここに立っていることはできまい。」
「えぇ。そうでしょうとも。貴方の心の臓に刻まれた紋様が裏切りの瞬間に貴方の心臓を貫くのですから。そしてその紋様は朽木家の者すべてに刻まれている。今後、朽木家が漣の力を利用するとするならば、その紋様が発動し、朽木の血は絶えることでしょう。」

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