色彩
■ 14.賭け

一方、青藍と卯ノ花は考えていた。
『烈先生、雷というのは浄化の力がありますよね?』
「えぇ。昔から雷というのは場を清めると言われています。」
『じゃあ、僕の力が使えますね。でも、母上には斬魄刀での攻撃が効かない・・・。それでは僕が斬魄刀で攻撃しても母上の穢れは払うことが出来ない。』


「青藍の舞では浄化は難しいでしょうか?雷を纏った貴方が舞えば、いつもよりは浄化の力が強くなるのではありませんか?」
『確かに強化されるでしょうが、それでもたぶん母上には敵いません。』
「そうですか・・・。逆の力で抑え込むことも難しいようですね・・・。」
卯ノ花はそう言って再び考え込む。


逆の力・・・。
逆・・・。
『あ!』
卯ノ花の言葉から、青藍な思い出したように声を上げる。


『逆ですよ、逆!』
「逆?」
青藍の言葉に卯ノ花は首を傾げる。
『母上が言っていたんです。舞は逆に舞うと意味も逆になるって。それで、それを同時に舞うと舞手の力量ではなく、その場を支配した方が強くなるって。』


「つまり、青藍が場を支配すれば、青藍が咲夜さんに勝つことも出来るということですか?」
『はい。僕が斬魄刀を使ってこの場を支配してから、逆の舞を舞えば、母上の舞にも勝てるかもしれない。』


「咲夜さんがどんな舞を舞うかは解るのですか?」
『解りません。でも、僕、逆に舞うの意外と得意なんですよ。だから、やってみます。』
青藍はそう言って微笑んだ。
「それではそれに賭けてみましょう。他に手があるわけではありませんし。」


『はい。じゃあ、冬獅郎さんから天の支配権を僕に渡してもらいましょう。冬獅郎さん!!卍解を解いてください!』
青藍の声が聞こえたのか、冬獅郎は卍解を解いた。
すると、空に稲妻が奔り、雷鳴が轟く。


『平子さんたちは散らばって僕の雷が瀞霊廷に落ちないように何とかしてください。』
「何とかって・・・無茶いいなや。」
「本当だよ。雷を防ぐとかどうすればいいわけ?」
『斬魄刀で弾けばいいんじゃないですかね。その辺は各自で考えてください。何とかしないと隊舎に避難した隊士たちが被害を受けますよ。』


「ったく、無茶振りだな。」
「まぁ、しゃあないなぁ。でも、オレらに出来ることはそれくらいなんやろ?」
『はい。その代り、僕が母上を絶対に止めます。』


「おう。頼むで。・・・さぁて、じゃあ、皆で行きますか。」
平子の声でその場にいた隊長格たちが一斉に瀞霊廷のあちこちに散開した。
青藍もまた、咲夜たちの元へと向かっていく。


『父上!春水殿!十四郎殿!』
「青藍。何か分かった?」
『えぇ。僕が、舞で母上を止めます。とりあえず、場を浄化するので、僕と母上から離れてください。』


「ははは・・・。助かったな、京楽。流石にこれはきつい。」
咲夜の鬼道を斬魄刀で弾きつつ、浮竹は言う。
「そうだね。朽木隊長なんか、ボロボロじゃない。」
「人のことが言えるのか?兄こそボロボロではないか。」


『父上、その左腕、折れていますね?僕が母上を止めている間に、烈先生にでも治してもらってください。僕の舞が成功しなければ、もう一度戦うことになりますので。』
「あはは。簡単に言ってくれるよね。」
「あぁ。だが、青藍の言うとおりだな。青藍、ここは任せていいんだな?」
『はい!とりあえず、やってみます!』


離れていった三人をみて、青藍は深呼吸をする。
三人が攻撃をやめたことで、咲夜は上空に飛び上がり、動きを止めた。
これから舞が始まる。
そう感じた青藍は目を閉じて集中する。


雷よ、僕の周りに集まっておくれ。
もっと、もっと、僕の近くに。
そう願う青藍に応えるように、雷雲が青藍の頭上に収斂し始める。

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