色彩
■ 12.隊長たちの背中

「まぁ、落ち着きなよ、青藍。」
「そうだ。お前だけが背負う必要はない。」
そんな声とともに、京楽と浮竹が姿を見せた。
『でも・・・。』


「青藍、漣家で何を聞いてきたんだい?」
京楽が穏やかに言う。
『漣の巫女の魂が穢されると、彼女たちの舞は清浄さを失うって。それで、世界を穢してしまう。』


「世界が穢れるとどうなるんだ?」
『穢れに蝕まれて、世界が・・・消える。』
話し始めた青藍を見て卯ノ花は霊圧の回復を開始した。
「消える?」


『はい。清浄すぎても生物は生きられないけど、穢れすぎても生物は生きられない・・・。ましてや、それが母上なら・・・。』
「咲ちゃんだと、どうなるの?」


『尸魂界の全てが壊れてしまう。霊妃様は言っていました。母上は、いつも、心のどこかで、世界など壊れてしまえと、思っている。父上がそんな母上をこの世界につなぎとめているけれど、父上が居なくなったら、駄目だって。だから、今父上が負けてしまっては駄目だ。母上に、父上を失わせては駄目なのです。尸魂界が壊れれば、現世や虚圏だって無事じゃない。』
青藍は泣きそうになりながら言った。


「霊妃が咲ちゃんに降りて、浄化することも無理なのかい?」
『・・・はい。今の母上には降りられないそうです。今降りれば、霊妃ごと穢れてしまうから。そうなれば、だれも止められない。霊王であっても。だから、降りることは出来ないと。』


「ああなった漣を止める方法は?」
『それは解らない・・・。霊妃様も、穢れた巫女が元に戻った前例は、ないと。これまで、穢れた漣の巫女は全て殺された。どうにかして、元に戻そうと手は尽くしたらしいのですが、舞を舞わせないように戦うしかなかったようで・・・。でも、無尽蔵に戦うことが出来る者など、どこにもいない・・・。』


「戦いの手を止めれば、漣が舞を舞ってしまうんだな?」
浮竹の問いに、青藍は力なく返事をする。
「そう。じゃあ、とりあえず、今は咲ちゃんと戦い続けるしかないんだね?」
『はい。そうすれば、母上は舞を舞うことが出来ない。』
京楽の言葉に、青藍は頷いた。


「よし。じゃあ、行くかぁ、浮竹。」
「あぁ。俺たちには、霊妃の加護とやらがあるから、まぁ、大丈夫だろう。」
「あはは。そうだったね。」
『春水殿?十四郎殿?』
立ち上がって斬魄刀を握った二人に青藍は首を傾げる。


「青藍はもう少し休んだ方がいい。俺たちが白哉の加勢に行く。」
『でも、動けるんですか?』
「あはは。まぁ、大丈夫じゃないの?他の人たちよりは動けるよ。」
『でも・・・。』


「そう心配しなさんなって。僕ら、こう見えてもそこそこ強いから安心してよ。」
「そうだぞ。俺たちはこう見えても隊長だからな。」
「そうそう。だから、三席の青藍ばっかりに大変な思いはさせておけないの。それに、僕ら隊長が、怖いからって竦んでいるわけにはいかないよ。」


「そうだな。卯ノ花隊長、青藍を頼むぞ。」
「えぇ。お任せください。」
卯ノ花に頷いて、二人は咲夜の元へ向かって行く。
風が吹いて、二人の着物がふわりと風に揺れた。

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