色彩
■ 10.パンドラの箱

浮竹と京楽は、咲夜の意識が青藍に完全に向いたことを感じ取り、すぐさま、四十六室の者たちの救出を始める。
「まったく、パンドラの箱を開けてくれちゃって。」
京楽は彼らを助けながら、呆れたように言った。


「ははは。それは漣のことか?それとも青藍のことか?」
「両方だよ。あの咲ちゃんの鬼道を片手で受け止めて消すってどういうことよ?」
「確かにな。それに、あの姿。まるで雷そのものだ。くわばら、くわばら、だな。」
「本当だよ。日番谷隊長が居てくれてよかった。彼が居なかったら、僕ら、雷から逃げ回っているようだからね。」


「はは。違いない。・・・よし、こっちはこれで最後だ。」
「こっちも終わり。・・・皆さん、命が惜しいなら、ここで大人しくしているんだよ。」
京楽はそう言って彼らの周りに結界を張る。


そんなとき、その場に駆け付けた白哉と橙晴は目の前で起こっている出来事に目を見開いた。
「一体、何があったのだ・・・。」
「あれは、母上と・・・青藍兄様?」


明らかに自我を失った咲夜と、見慣れぬ恰好をしている青藍。
巨大な霊圧の衝突によって、あたりには緊張感が漂っている。
「父上、あれは・・・。」
「行くぞ。」
二人の戦いを唖然と見つめる隊長格たちを見つけた白哉は彼らに近付いていく。


「朽木隊長、勝手な行動をされては困ります!」
七緒が制止をするも白哉は構わず歩を進める。
「兄様!」
それに気が付いたルキアが、彼らのもとに駆け寄ってきた。


「ルキア。何があった。」
「解りませぬ。咲夜姉さまが、突然四十六室を破壊したと・・・。それで四十六室から緊急の救援要請が。」
「橙晴の予想通りになったようだな。」
「そのようですね。」


「ですが、あの様子はいつもの姉さまではありませぬ。今、四十六室のものを助け出すために、青藍が一人で・・・。私たちでは近づけぬのです。近づくと、恐怖に体が動かなくなってしまうのです・・・。」
ルキアが泣きそうになりながら言った。


「・・・青藍兄様のあの御姿は?」
「卍解・・・か?」
「はい。姉さまを止めるために一人で。しかし、あのままでは・・・。」
ルキアは不安げに二人を見つめる。
「そうか。」


白哉はルキアの言葉に頷いて何かを考える。
そして再び口を開いた。
「・・・ルキア。」
「はい。」


「落ち着け。大丈夫だ。・・・睦月をここに呼んで来い。ここには卯ノ花隊長もいる。睦月も居れば、二人に何があっても助けられよう。そうだな、ルキア?」
白哉はルキアを落ち着かせるように静かに言った。
「・・・はい。すぐに呼んでまいります。」
ルキアはそう言って駈け出した。


「朽木隊長!」
入れ替わるように恋次が駈けてくる。
「隊長の斬魄刀です。一番隊から持ってきました。」
「な!?勝手に持ち出すなど、罪に問われるぞ!」
雀部が焦ったように言う。


「総隊長の許可は貰った。」
「しかし四十六室は・・・。」
「あんたの隊長が良いと言ったんだ。あんたはそれに従うのが仕事じゃないのか?」
「・・・。」
恋次に言われて雀部は黙り込む。


「朽木隊長、これを。」
恋次は千本桜を白哉に差し出す。
「礼を言う。・・・橙晴、行くぞ。」
白哉はそう言って斬魄刀を受け取ると、姿を消した。
「恋次さん、ありがとうございます。後は僕らに任せてくださいね。」
そう言い残して、橙晴もまた白哉を追って姿を消したのだった。

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