色彩
■ 8.巫女の暴走

『さて、みなさんお集まりのようですね。』
集まってきた死神たちを見ながら青藍は言った。
「まぁ、集まってくるよねぇ。この騒ぎだし。」
京楽の視線は、鬼道を放つ咲夜を追っている。


『春水殿、とりあえず、あの四十六室の方々をあそこから助け出しますよ。僕としてはあの人たちがどうなろうと構いませんが、また新しい人を選んで同じことが起こると面倒ですからね。彼らには僕らの恐ろしさを刻み込んで二度と手を出さないように忠告しなければ。』


にこにこと青藍は楽しそうだ。
それをみて京楽は背筋をぞっとさせる。
「あはは。了解。青藍も無茶はしないでね。」


『それは約束できませんねぇ。母上を助けよと、父上に言われてしまいましたから。それにあれじゃあ、無茶するなという方が無茶です。』
青藍はそう言って咲夜を見る。
次々と鬼道を放ち、周囲はすでに瓦礫の山と化している。


「京楽。青藍。」
その時、後ろから浮竹が声を掛けてきた。
『十四郎殿。仮病、お疲れ様です。姿を見せなくても、床に臥せっていると言えば誰も疑わないなんて、流石です。』


「ははは。俺もそう思うよ。まぁ、それが役に立つならいくらでも使ってやる。ましてやそれが漣のためだからな。」
浮竹はそう言って朗らかに笑う。
『まったく、心強いですねぇ。・・・それにしても、大変なことになりました。』


「あぁ。元柳斎先生は本格的に黒刃と白刃の封印に当たっている。ここは俺たちに任せるそうだ。」
「そうかい。それじゃ、頑張らなくちゃね。」
「「咲夜を守れ」とのお達しがあった。」
「山じいも四十六室の命令を無視する気なわけだ。」
「まぁな。彼奴を失うわけにはいかないだろう。白哉にも頼まれてしまったしな。」


『父上は?』
「白哉はまだ一番隊に軟禁されている。」
『すぐにここに呼んでください。監視付きでもいいので。それから橙晴も呼んでください。』


「わかった。仙太郎、清音。」
浮竹に呼ばれて二人が姿を現す。
「話は聞いていたな?すぐに一番隊に行け。俺の名前を使っていい。橙晴も呼んで来い。」
「「は。」」
二人はそう言って姿を消した。


『僕が母上を足止めします。お二人は四十六室の方々を避難させてください。』
「一人で?」
「それは無茶すぎるだろう。」
『では、聞きますが。お二人はあの母上に近付けますか?』


「「・・・。」」
青藍に言われて二人は沈黙する。
『本当は今すぐにでも後ずさりしそうなのでしょう?幸い、僕はそうじゃない。だから、僕が母上を止めます。父上と橙晴が来れば、三人で何とかします。』
青藍は真っ直ぐに咲夜を見て言った。


『四十六室のせいだとしても母上は朽木家の者です。朽木家の者で何とかして見せます。あの母上を止められるのは僕らだけだ。』
「それはそうだが・・・。」


『僕らが行くのが、一番被害も少ない。隊士たちは避難させてください。この場に残っていいのは隊長格だけです。そちらは・・・真子さんたちにお任せしても?』
青藍が言うと平子、ローズ、拳西が現れる。


「おう。やったるわ。」
「全く、サクはいっつも巻き込まれるよね。」
「サクだからしかたねぇだろ。」
『お願いします。・・・それから、冬獅郎さん。』
隊士たちの元へ言った三人を見届けて、青藍は冬獅郎の名を呼んだ。


「何だ?」
呼ばれて冬獅郎が姿を見せる。
『僕ちょっと天の支配が疎かになるので、天の支配をお願いできますか?じゃないと落雷で瀞霊廷が燃え尽きる自信しかありません。』
「了解。」

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