色彩
■ 1.急報

『失礼いたします!六番隊第三席、朽木青藍にございます!』
昼過ぎに白哉が当主会議に出席していると、青藍がその場に駆け込んできた。
一同の視線を気にすることなく、青藍はただ白哉だけを見つめている。
「ここは当主の場であるぞ。」
そんな青藍を窘めるように白哉は言った。


『申し訳ありません。お叱りは後で受けます。ですが、六番隊隊長、朽木白哉様に緊急招集令が発されました。』
緊張感を漂わせた青藍に白哉はいつもと違う何かを感じ取る。
「・・・何事だ。」


『・・・十三番隊朽木咲夜が、尸魂界に謀反の疑いあり、と、四十六室に拘束されました。』
青藍の言葉にその場にいた者全員が目を見開いた。


「それは真か?」
『恐らくは。詳細は現在確認中です。そして、朽木隊長には、一番隊隊長山本元柳斎重圀様及び、八番隊隊長京楽春水様から連名での招集命令が発せられております。』
「・・・何故そなたがそれを?」


『この場に踏み入ることの出来るものの中で私の足が一番早いですから。早急にお知らせせねばと判断し、私が参りました。』
「朽木様のご子息なれど、この場に立ち入るとは不遜ではないか?それに、今朽木様に席を外されては困りますぞ。」
当主の一人がそう言った。


『無礼は承知の上にございます。緊急事態故、お許しいただきたい。・・・茶羅。』
青藍が静かに呼ぶと、茶羅が現れる。
『父上に代わり、この場を収められるね?』
「もちろんですわ。・・・父上、ここは私にお任せください。」


「だが・・・。」
茶羅に真っ直ぐに見据えられて、白哉は戸惑う。
「父上、私だって日々遊んでいるわけではありません。」
『そうです。茶羅に任せても問題ないでしょう。今貴方がやるべきことは他にあります。すぐにご用意の上、一番隊舎に向かってください。』


「この場に残って向かうのが遅くなれば、父上のお立場も悪くなります。最悪、朽木家の全てが謀反の疑いをかけられてしまう。朽木家のことを思うのならば、父上のやるべきことはただ一つ。父上はそれが何なのか解っておられるはずです。別室にお着替えを用意してあります。さあ、急いで。」
「・・・わかった。頼む。」
「お任せを。お二人ともお気をつけて。」


『父上、こちらです。』
青藍が別室へと案内し、白哉は死覇装へと着替え始める。
「状況は?」


『まだ・・・。ですが、すでに皆に動いてもらっています。邸は橙晴に任せました。清家と共に警戒しております。銀嶺お爺様は四楓院家に。じきに刑軍の情報もこちらに入ってくることでしょう。』
青藍はなるべく小さな声で話し始める。


『十四郎殿は四十六室に向かわれましたが、おそらく聞き入れてはもらえますまい。その場合は、仮病を使って独自に調査を進めて頂きます。ルキア姉さまは十三番隊の取りまとめを。』
「そうか。」


『一番隊舎に行けば、父上は軟禁状態になるでしょう。よって、六番隊は恋次さんにお任せします。烈先生が、四番隊から虎徹副隊長と、雪乃を派遣してくださいました。それで三日ほど非番を頂いたので、僕は漣家に向かいます。』


「漣家に?」
『はい。漣家にも刑軍が差し向けられているようです。天音様は大人しく拘束されることでしょう。弥彦様は暫く刑軍を振り回すとのことです。涼音様と玲奈さんはすでに刑軍の監視下に。ですから、僕が地下の神殿に行って霊妃様にお話を伺ってきます。十五夜様との連絡も取りたいですし。』


「捕まれば、そなたも無事ではないぞ。」
『ふふ。大丈夫ですよ。喜助さんから霊圧を遮断する外套を借りてきましたし、そう簡単には捕まりませんよ。夜一さんも独自に動いているようです。』
喜助から借りた外套を着ながら青藍は微笑む。


『それに、父上は動かない方がいい。当主である父上が動けば、朽木家の全てを巻き込んでしまう。そして、父上は隊長です。隊士たちを不安にさせて、混乱させることはなるべく控えた方がいい。』

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