色彩
■ 25.座談会B

そんな話をしている時、ガラリと扉が開けられた。
その扉を開けたのは冬獅郎である。
「あら、日番谷さん。いらっしゃいませ。」
「あぁ。時間が少し早いが、出来ているか?」
「まだなんです。申し訳ありません。」


「いや、俺が早く来たんだ。気にするな。」
「その辺にお座りになっていてくださいな。」
言われて冬獅郎は店内を見回す。
そして、目を見開いた。


『あ、やっと気が付いたようですね。』
「お疲れ様です、日番谷隊長。」
青藍と京がそう声を掛けると、冬獅郎は取材班にも気が付いてあからさまに嫌な顔をした。
「お前ら、何でこんなところに居るんだよ・・・。」


『あはは。取材中です。冬獅郎さんもこちらに来ましょうよ。』
「俺は遠慮する。」
『そんなぁ。僕が断ったら、冬獅郎さんが取材されていたんですからね?』
「日番谷隊長は人気投票第二位でしたからね。」
「俺が断っても朽木が居るだろ。彼奴は三位だ。」
冬獅郎はげんなりしたように言う。


『父上がこんな取材を受けると思いますか?今日で取材三日目ですけど、父上、カメラの前には一度も姿を見せていないんですよ?』
「だからって何で俺だよ・・・。」
『だって冬獅郎さん、すでに写真集も出しているじゃないですか。』
「あれは松本が・・・。」


『そうですよね。乱菊さんに押し切られたんですよね。で、今回僕がこの取材を断ったら、また乱菊さんに押し切られて密着取材でしたよ?つまり、僕のお蔭で冬獅郎さんは平和に仕事が出来ている、という訳です。』
「・・・。」


『だから、少しぐらい、協力してくれますよね、冬獅郎さん?』
青藍はそう言ってにっこりと微笑んだ。
「・・・っち。解ったよ。お前、実は性格悪いだろ。」
『ふふふ。』
恨めしげに言った冬獅郎に、青藍はただ微笑むだけである。


「・・・青藍、それ、脅しっていうんだよ。」
「本当にお前って奴は恐ろしいよな・・・。」
京と侑李が呆れたように言う。
「日番谷、諦めてここに座れ。・・・お前も苦労するな。」
睦月は同情するように言った。
「はぁ。そうっすね。彼奴、どうにかならないんすか・・・。」
「俺ではどうしようもない。俺はもう諦めた。抵抗するだけ無駄だ。」


『ふふ。ということで、冬獅郎さんにも参加して頂きます。』
「はいはい。俺は仕事があるから時間になったら帰るからな。」
諦めたように言って冬獅郎は座る。
『解っていますよ。ご協力、ありがとうございます。まぁ、紹介するまでもないと思いますが、こちらは十番隊の隊長である日番谷冬獅郎さんです。母上の教え子なので僕が小さい頃からお世話になっていますね。』


「そうだな。咲夜さんは浮竹が寝込んでいる時はお前を十番隊に預けてきた。」
『僕もよく十番隊に居た記憶があります。冬獅郎さんには乱菊さんに抱きしめられて窒息しそうになっているところをよく助けてもらいました。』
「それで大体睦月さんが迎えに来てたんすよね。」
「まぁな。俺は青藍の目付け役みたいなものだからな。」


『母上と冬獅郎さんって最初どういう出会いだったんですか?教え子の中でも冬獅郎さんとはすごく仲良しですよね。』
「そうか?」
『えぇ。というか、母上がすごく可愛がっている感じですけど。』


「うるせぇよ。あの人、初対面からそうだったぞ。ったく、人のことぬいぐるみとか言いやがって・・・。」
気に入らないというように冬獅郎はいう。
『あはは。それはすみません。』


「彼奴に初めて言われた言葉は「君は人形のふりでもしているのか?」だったな。あの時、睦月さんも居ましたよね?」
「そうだったな。あれは面白かった。お前、最初はいつも一人だったから、あれでも心配したんだろ。で、日番谷の返答も中々面白かった。」
『なんて言ったんです?』


「「だったらあんたは人のふりしてる人形っすね。」って。それを聞いた咲夜さんは目を丸くして大爆笑。」
「だって彼奴、昔は人形みたいでしたよね?」
冬獅郎は睦月に問う。
「まぁ、そうだな。昔の咲夜さんは笑っていても心は笑っていない感じだった。」


『なるほど。それを見抜かれて冬獅郎さんに興味を持ったんですね。』
「だろうな。ま、ある意味で日番谷と咲夜さんは同類だったんだろう。日番谷は感情を表に出さず、咲夜さんは感情というものが未発達だった。日番谷と会ったころは回復した方だったけどな。霊術院の教師として入ってきたときにはもっと他人を拒絶していた。」

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