色彩
■ 22.加護を受けし者たち

「縁は異なもの味なもの、か。よく言ったものだ。」
戻って行った蓮を見ながら浮竹がしみじみという。
「そうだね。僕らと咲ちゃんとの縁、咲ちゃんと朽木隊長との縁、青藍と蓮君の縁・・・。いつどこでどんな繋がりが出来るか予想することは出来ないからね。」
京楽は浮竹に同意しつつ言った。


「ふふ。本当に不思議なことだ。私は君たちと出会わなかったら、これほど多くの者と縁を結ぶことなどなかった。君たちとの縁が、他の者との縁をつないでくれた。まぁでも、白哉との縁をつないだのは蒼純様らしいな。さっき霊妃がそのようなことを言っていた。」


『霊妃様が?』
咲夜の言葉に青藍は首を傾げる。
「うん。青藍が舞っていた時、霊妃が降りてきたのだ。青藍の舞に呼ばれたと。」
咲夜は楽しげだ。


『僕が呼んだのですか?』
「そうらしい。で、新しい事実が発覚した。」
『なんです?』
「愛し子は白哉ではなく、青藍だ。」
『「「えぇ!?」」』
三人の驚きの声に咲夜は楽しげに笑った。


「ふふ。私も驚いた。」
「じゃあ、何故白哉は霊妃を恐れないんだ?」
「私たちを慈しみ、愛する者だからだそうだ。孤独な巫女への贈り物、と言ったところなのだそうだよ。・・・本当に、感謝せねばならないな。」
咲夜はそう言って微笑む。


「ついでに霊妃から加護を貰ったそうだ。私たちと、私たちの仲間に。」
「それはつまり・・・。」
「おそらく浮竹や京楽にも霊妃の加護があるということさ。まぁ、睦月たちもそうかもしれないな。」


「なるほどな。どうやら俺たちはそう簡単には死なないらしい。」
「そうみたいだねぇ。」
二人はそう言って笑う。
『お二人は加護なんかなくてもしぶとく生きそうですけどね。』


「あはは。言ってくれるね、青藍。」
「そうだな。」
「浮竹など、霊王まで味方に付いているのだぞ。そう簡単に死にはしないさ。」
「はは。そう言えばそうだったな。」


「咲夜、青藍。」
いつの間にか白哉と銀嶺とルキアが近くに来ていたらしい。
『父上!銀嶺お爺様!ルキア姉さまも。』
「青藍、良い舞だった。」


「皆青藍から目を離すことが出来なかったと言っていたぞ。」
「儂もよいものを見せてもらった。」
『ありがとうございます。』
三人に褒められて青藍は嬉しそうに微笑む。


「そろそろ帰るぞ。橙晴と茶羅も待っているだろうからな。」
「はぁい。」
「爺様も、今日は邸に泊まる。」
『本当ですか?じゃあ、今日はお爺様のお話が聞けますね!』
「ほほ。年寄りの話を楽しげに聞くのは青藍ぐらいじゃ。最近の白哉など儂の話を面倒そうに聞き流す。」
銀嶺はからかうように白哉を見る。


「五月蝿いですよ、爺様。・・・それに明日も仕事があるからな。」
『そうですね。僕、明日は非番ですけど、まだ取材があるんでした。』
「ふふふ。キリトたちも巻き込むらしいな。」
『えぇ。その方が面白いですからね。』
「兄らも加護を貰ったからと言って呑みすぎるなよ。」
「あはは。」
「ほどほどにするよ。明日も仕事だからな。」


翌日。
青藍は取材班とともに、琥珀庵に来ていた。
店の中に入ると、中にはすでに青藍の友人たちが勢ぞろいである。
侑李に京、キリト、雪乃、蓮に睦月は勿論のこと、千景と薫までいる。
そして漣家の養子となっている玲奈まで居るのだった。


「よう。青藍。」
『みんな揃っているようだね。先輩方も今日は集まってくれてありがとうございます。』
「構わないさ。」
「青藍の頼みだからね。」
二人はそう言って微笑む。


『瑛二殿も琥珀庵をお貸しくださりありがとうございます。』
「いえいえ。青藍様にはいつもお世話になって居りますからね。」
「そうですよ。本日も心を籠めておもてなしさせて頂きます。」
南雲夫妻もまたそう言って微笑んだ。


「それで、青藍様?何故私まで呼ばれたのかしら?」
玲奈が納得いかないような表情で言う。
『あはは。いいじゃないですか。お暇だったのでしょう?』
「私、青藍様と蓮以外の方々とはほとんど初対面なのよ?」


『この面子で女の子が雪乃ひとりじゃ大変でしょう?』
「まぁ、そうね。この人たち意外とまともじゃないもの。」
雪乃が青藍に同意する。
『あはは。否定はしないよ。というわけで、しっかり者の玲奈さんをお招きいたしました。』


「・・・わかったわ。どうやら楽しむしかないようね。こうなった青藍様に何を言っても無駄なのは既に経験済みですもの。」
玲奈は諦めたように言った。

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