色彩
■ 17.大叔父と大叔母

密着取材二日目。
「やぁ、青藍。」
青藍がカメラを向けられつつもいつものように仕事をしていると、京楽が姿を現した。
『春水殿?どうしたのですか?』
「取材されてるって聞いたから。面白そうだなぁと思ってね。」
『面白がらないでくださいよ・・・。それでも一応仕事中です。』


「いいじゃないの。阿散井君、青藍、借りていくよ。青藍は今日、これから非番になりました。」
『「えぇ!?」』
『ちょっと、勝手に決めないでくださいよ・・・。』
「いいじゃない。ね、阿散井君?」


「まぁ、そっすね。どうせ明日は青藍非番っすからね。急ぎの仕事もありませんし、隊長には俺から言っておきます。」
「流石阿散井君。話が分かるねぇ。じゃ、青藍、行くよ。」
『ちょ!?うわぁ!?』
そう言って京楽は青藍を連れ去るように姿を消したのだった。


「浮竹、青藍連れてきたよ。」
「あぁ、来たか。」
青藍が連れてこられたのは雨乾堂である。
『十四郎殿?それに、天音様に・・・弥彦様?』
「お久しぶりにございます。青藍様。」
「やぁ、久しぶりだね、青藍君。」
二人はそう言ってにっこりと微笑む。


『お久しぶりです。弥彦様が顔を見せるなんて珍しいですねぇ。』
「偶然天音と行き会ってね。久しぶりに顔を出してみようということになったんだ。」
『弥彦様、中々漣家にお帰りになりませんものね・・・。』
青藍は苦笑する。
「私はいいんだよ。領地をふらふらするのが仕事だからね。どうせだから、青藍君の顔も見たいということになったんだ。急に呼んで悪いね。忙しかったかい?」


『いいえ。春水殿のお蔭で、午後から僕は非番になりました。』
「おい京楽・・・。無理やり連れてきたんじゃないだろうな?」
浮竹は京楽を呆れたように見る。
「やだなぁ。阿散井君には許可を貰っているよ。朽木隊長にも連絡を入れておいたから、大丈夫でしょ。」


「それならいいが・・・。取材班が付いてきているぞ。」
「取材班?」
天音がそう言って首を傾げる。
『あはは。かくかく云々で取材されているのです。カメラがお嫌ならすぐに止めさせますが。というか、漣家の方が顔を出しても平気なんですか?』
「私は構いませんよ。」
「私も。なるほど。青藍君は噂に違わず人気者なのだね。」


『あはは。こちらは僕の大叔父の漣弥彦様と大叔母の漣天音様です。天音様は漣家の当主を務めておられます。弥彦様はあちらこちらへ出かけているので姿を見るのは僕も久しぶりですね。文はよくいただくのですが。』
「それは私もですわ。漣家に来てから、この人、私を置いて、すぐにどこかへ行ってしまうのですから。」


「天音には毎日手紙を送っているだろう?」
「毎日手紙を書くよりも、たまには顔を見せなさいと言っているの。貴方と会うよりも十四郎殿と会う方がよっぽど多いのよ?そのうち私の夫は十四郎殿になるかもしれないわね。」


「えぇ!?酷い・・・。」
「十四郎殿にその気があれば、私は何時でも婿に迎えますよ?」
天音はそう言って浮竹に微笑む。
「ははは。魅力的な申し出だなぁ。そうしたら俺は漣の叔父になるのか。」
「何それ。羨ましい。・・・天音殿、僕もその候補に入れてくれないかなぁ?」
「ふふ。考えておきます。」


「春水殿まで!?二人とも、頼むから私の妻には手を出さないでくれよ・・・。」
「それに貴方の手紙何てほとんど読んでいないわ。」
「何だって!?私の愛が詰まった手紙を読んでくれていないなんて・・・。」
弥彦はそう言って泣きそうな目で天音を見つめる。
「涼音だって碌に読んでいなくてよ。」
「そんなぁ・・・。」

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