色彩
■ 14.書類配達A

『あとは四番隊ですね。もうすぐお昼になるのか。午後は六番隊に戻って・・・任務があるのか。誰を連れて行こうかな。昼休みに父上に相談してみよう。それから書類の整理と、恋次さんに報告書も出さないといけないか。あと父上と来月のシフトの調整もしなければ。あぁ、じゃあ姉さまに母上の非番がいつか教えてもらわないと。まぁ、それは伝令神機で聞けばいいとして・・・。』


「あの・・・。」
やるべきことを整理しながら歩く青藍に、取材班の一人が恐る恐る声を掛けた。
『ん?どうしたの?』
「本当にお忙しいのですね・・・。編集長たちが無理を言ったようで申し訳ありません。」


『あはは。別にいいよ。いつものことだし、忙しくても休憩は出来ているからさ。君たちも疲れたら遠慮なく言ってね。お茶を飲む時間くらいはあるでしょう。』
「お心づかい痛み入ります。ですが、お願いしているのはこちらなので、お気になさらず。要望があれば遠慮なく言ってください。」


『そう?じゃあ、僕が六番隊の隊主室に行ったときは付いてくるのは遠慮してもらえるかな。父上はカメラが好きじゃないから。それにカメラに移されると困る書類もあるからね。』
「はい。解りました。」
『それから・・・修兵さんと侑李には根ほり葉ほり取材してあげてね。何なら、彼らの素顔を僕が話してあげるし。』


「あはは・・・。朽木三席って意外と容赦ないんですね。」
『ふふ。自覚はあるよ。僕は周りが思うほど優しくないし、穏やかでもない。周りにも、よく言われるしね。』
青藍はそう言って微笑む。


「その微笑が出来るのに、容赦がないっていうのは女子としてはポイント高いですけどね。私、実は朽木三席と同期なんです。」
『そうなの?』
「えぇ。三席はご存じないと思いますけど。クラスも違いましたし。でも、霊術院時代は女子の間では三席の話が出ない日がないくらいだったんですよ。」


『あはは。まぁ、毎日のように死神の皆さんが顔を出していたからね・・・。同期たちには迷惑をかけたと思うよ。』
青藍はそれを思い出して苦笑する。


「そんなことはありませんよ。見ている分には面白かったですから。隊長たちとつながりを持つために朽木三席に近付く人もいましたけど。三席が悉くそれを見抜いていましたからね。私はそれが、面白くて。なかなか充実した学院生活でしたよ。」
『あは。君も意外とアレな人なんだね。』
「この位じゃないと編集部何てやっていられませんから。」


『失礼します。六番隊朽木青藍です。卯ノ花隊長か虎徹副隊長にお渡しするものがあるのですが。』
そんな話をしながら、四番隊に着いた青藍はそう声をかける。
「あら、青藍。久しぶりですね。」
『烈先生!ご無沙汰しております。なかなか顔を出せなくてすみません。』


「いえ、構いませんよ。四番隊に来ないのは元気な証拠ですからね。活躍は聞こえてきますし。」
『これ、十四郎殿の健康状態のデータだそうです。虎徹三席から預かってきました。それからこれは四番隊への書類です。』
「確かに。お預かりしますね。密着取材、頑張ってくださいね。瀞霊廷通信に載るのを楽しみにしておきますから。」
『あはは。耳が早いですねぇ。僕はいつも通りやるだけです。では、僕はこれで。』


「あら、青藍。来ていたのね。」
四番隊舎を歩いていると、雪乃が現れた。
『雪乃。お疲れ様。』
「青藍こそ。人気投票一位ですって?おめでとう、と言っておくわ。」
『あはは。ありがとう。・・・この人は朝比奈雪乃。四番隊の十五席だ。僕の同期だよ。』


「私も撮られているのね。まぁ、別にいいけど。」
『今日は白衣じゃないんだね。残念。』
「何を言っているのよ。白衣を着て外に出るわけにはいかないの。」
『雪乃の白衣姿で読者を増やそうかと思ったのに。』


「青藍が上半身裸にでもなった方がよっぽど読者が増えるわよ。この人、本当に綺麗に筋肉が付いているのよ。この間の健康診断の時は驚いたわ。朽木隊長の体とそっくりなのよ。」
『あはは。そんなことないよ。』

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