色彩
■ 13.書類配達@

「あ!青藍君!丁度いい所に来た。」
十三番隊の執務室の前を通ると、清音がそんな声を掛けてきた。
『どうしました?』
「青藍君、今日は書類届けてるのよね?四番隊にも行くでしょ?」
『えぇ。行きますよ。』


「よし!じゃあ、この書類お願い!あと、これ、卯ノ花隊長か姉さんに渡してもらえる?」
『何ですか、これ?』
「隊長の健康状態のデータよ。定期的に提出してんのよね。」


『へぇ。なるほど。これだけ詳しければ、発作が出やすい時期なども解りますね。解りました。お預かりします。』
「よろしく!」
『はい。では、失礼します。』


続いて、青藍は十二番隊にやって来た。
『失礼します。阿近さんいらっしゃいますか?』
「青藍か。何だ?」
青藍の声に阿近が顔を出す。


『六番隊からの書類です。あと、これは睦月から。新薬の臨床データと睦月の考察です。それからこれは睦月がその新薬に手を入れたサンプルですね。僕が六番隊を出る時に丁度会ったので預かってきました。』
「おー、いつも悪いな。で、後ろの奴らは?」


『あぁ、気にしないでください。三日間密着されているだけです。編集部に頼みこまれてしまいましてね。』
「へぇ。お前も大変だな。」
『あ、阿近さんも撮られていますからね。場合によっては瀞霊廷通信に載りますよ。』
「ふぅん?それはどうでもいい。が、その辺のものに勝手に触るなよ。」
阿近は睦月のデータを見ながら言った。


『あはは。それは勿論。何が起こるか解りませんからね。』
「それから、いい加減睦月をうちに寄越せ。何故彼奴は死神にならないのか、と隊長が騒いでいるぞ。」
『それは無理かと。父上は睦月を死神にするつもりはありませんよ。本人にもその気はありませんしね。』


「これだけのデータを詳細に、かつ、的確に分析できる奴はそうはいない。勿体ない奴だ。いちいち彼奴に依頼するの面倒なんだよ。」
『ふふふ。死神にしてしまうと、睦月を好きな時に動かせなくなってしまいますからね。朽木家としてはそれでは困るのですよ。医師として以外にも睦月にはやってもらうことがあるので。』


「はぁ。全く、ガードの硬い奴だぜ。彼奴自身も、彼奴の周りも。」
言って阿近はため息を吐く。
『ふふ。では僕はこれで。』
「あぁ。ご苦労。睦月に礼を言っておいてくれ。」


『次は十一番隊ですか。・・・失礼しまーす。弓親さん、居ますか?』
十一番隊の執務室にやってきた青藍はそんな声を上げる。
『六番隊からの書類です。お願いします。』
「あぁ、青藍か。書類の配達とは珍しいね。」
弓親は書類を受け取りながら言う。


『あはは。執務に影響があるとまずいですからね。この状況ですので。』
青藍は取材班を見ながら言った。
「なるほど。今も撮られているのかな?」
『えぇ。皆さん、弓親さんを美しく撮って差し上げてください。』


「カメラマンの腕が悪くても、僕の美しさには変わりがないさ。」
『ふふ。そうでしたね。では、僕はこれで。』
「あぁ。今度は手合わせを頼むよ、青藍。」
『時間が出来たら、お願いします。』


「あ!ランランだ!」
そんな話をしていると、やちるが姿を現した。
「副隊長。」
『やちるさん。』
「金平糖、ある?」
『ありますよ。どうぞ。』
「流石、ランラン!ありがと!!」
青藍から瓶を受け取り、やちるは金平糖を口に入れる。


「いつも悪いね。」
『いえ、構いませんよ。この金平糖はやちるさん対策ですから。』
「対策って・・・。ま、いいけどさ。副隊長、食べ過ぎると虫歯になりますよ。」
「大丈夫だよ!」
『ふふふ。では僕はもう行きますね。』


『失礼します。』
「あら、青藍じゃない。呑んでく?」
青藍が十番隊の隊主室に入ると、長椅子の上で呑んでいる乱菊が居た。
『呑みませんよ・・・。仕事中です。冬獅郎さんはどうしました?』
「隊長?今日は非番よ。だから、あたしはサボり放題ってわけ。隊長には秘密よ?」


『あはは。乱菊さん、残念ながら全て撮影されていますよ。僕の後ろに居る人たちが見えませんか?』
「あら、青藍。あたしを甞めないでよ。そんなの修兵に頼めば、カットよ、カット。」
『乱菊さん・・・。』
乱菊の言葉に青藍は呆れるしかない。


「ほら、青藍。口止め料にこれあげる。そば饅頭。美味しいわよ。後ろの皆も食べなさい。」
『仕方のない人ですねぇ。一応これは貰っておきますけど、残っている書類の量で冬獅郎さんにバレると思いますよ。』


「あはは。だいじょーぶよ。」
『乱菊さんの大丈夫は大丈夫じゃないんですけどね・・・。まぁ、明日は冬獅郎さんの雷が落ちないことを祈っておきます。では、失礼しました。』

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