色彩
■ 12.困りごと

青藍が死神となってから月日が流れ、あっという間に身長が伸びた青藍は、今や白哉のそれを上回っていた。
相変わらず三席として順調に仕事をしている青藍だったが、困りごとが一つ。


「「頼む!青藍!」」
原因は目の前で頭を下げる修兵と侑李にある。
「そう言われても・・・。」
青藍は頭を下げる二人に困ったように言う。


「頼むよ、青藍!俺たちを助けると思って!」
「青藍、ちょっとでいいから!ちょっとだけ密着させてくれればいいから!」
「もちろん仕事の邪魔はしない。」
「朽木隊長にも話は通しておく!」
「「お前が居ないと始まらないんだ!」」


事の発端は女性死神協会が主催した男性死神の人気投票にある。
それによって青藍は数々の隊長格を押し退けて堂々の第1位となってしまったのだ。
朽木家の生まれであり、実力は三席にしておくのにはもったいないほど。
両親から受け継がれた容姿。
物腰柔らかな雰囲気。
身長が伸びたことも一因であろう。
昨年までは白哉や冬獅郎に負けていたが、今年初めて青藍の人気が彼らを上回った。


「・・・修兵さんがやればいいと思います。修兵さんだって6位にランクインしているじゃありませんか。」
頭を下げ続ける二人に青藍は面倒そうに言った。
「いやいや、6位のおれよりも1位の青藍だろ。」
「人気が高い方が出てくれた方が皆読んでくれるんだよ。な?頼むよ青藍。」


『侑李だって21位で上位に入ってるじゃないの・・・。』
「俺はいいんだよ。編集部だから。」
そう言った侑李を青藍はじとりと見つめる。
『ふぅん。そうやって僕を売るんだ・・・。僕は侑李のこと大切な友人だと思っているのに、酷いなぁ。』


「いや、違う。売るとかそんなこと俺がするわけないじゃん。あはは・・・。頼むよ、青藍。」
『・・・はぁ。解ったよ。』
大きくため息を吐いて、青藍は頷いた。


「「本当か!?」」
青藍の言葉に二人は目を輝かせた。
『引き受けますよ。ただし、条件があります。』
「何だ?」
『父上を始めとして僕の家族にカメラを向けることは禁止します。それから、朽木家まで付いてくることもやめてください。』


「解った。約束しよう。」
「青藍はいいか?」
『まぁ、いいよ。でも、フィルムは後で僕に引き渡してね。データを残すのも駄目だよ。見つけたら僕は遠慮なく父上を頼ります。』


「「あぁ。」」
青藍の言葉に二人は顔を引き攣らせながら返事をする。
『それから・・・侑李は勿論、京やキリトも巻き込むからね。覚悟しておいてね。』
そう言って笑った青藍に、侑李は表情を凍りつかせた。


『ふふふ。もちろん協力してくれるよね?侑李。君は21位で、京は18位、キリトは25位、蓮は9位かぁ。楽しみだなぁ。』
にこにこと青藍は笑いながら言う。
「ははは・・・。」
侑李はそれを見て顔を引き攣らせる。
相当文句を言われるであろう、自分の未来を思って。


『修兵さんには後で何か奢ってもらおうかなぁ。瀞霊廷通信のためなんですから、編集長である修兵さんならその位の事はしてくれますよね?』
「お、おう。もちろん。」
気圧されたように修兵は頷いた。
自分の懐事情を考えながら。
『では、そう言うことで。僕は仕事に戻ります。』


そして、密着取材の日。
取材期間は三日間である。
最終日は非番である。
『六番隊、朽木青藍です。書類をお届けに参りました。』
青藍は書類運びをしていた。


普段はあまりやることがないが、取材班が六番隊に居ると白哉が邪魔そうな顔をするので、書類の配達を申し出たのだ。
恋次がそれを苦笑しつつ受け入れたので、今は雨乾堂に来ている。
午後になってしまうと咲夜が雨乾堂で昼寝をしているからだ。
そんな姿を撮られてしまったら、白哉に何といわれるかわからない。
そのため、青藍は午前のうちに十三番隊を訪れたのだ。


「おぉ、青藍か。・・・大所帯だな。」
笑顔で受け入れた浮竹が取材班を見て苦笑する。
『あはは。騒がしくてすみません。父上からの書類です。』
「あぁ、確かに。」
『十四郎殿も映りますか?』
青藍は悪戯っぽく笑って言った。


「ははは。どうも。十三番隊隊長、浮竹十四郎だ。青藍をよろしくな。」
カメラに向かって浮竹は微笑む。
『ふふ。ありがとうございます。十四郎殿には生まれたころからお世話になっているのですよ。僕に斬拳走鬼の基礎を教えてくれたのは十四郎殿です。今でも稽古をつけてもらうことがあります。』


「最近、お前と稽古するのは辛くなってきたよ・・・。」
浮竹はそういって肩をすくめる。
『何を言っているんですか。僕ではまだまだ敵いません。じゃあ、僕はこれで。』
「あぁ、お疲れ。」

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