色彩
■ 3.絡まれる

『さて、もうお昼ですね。僕はお腹がすきました。』
店から出て暫くその辺を散策していると、青藍はそう言った。
「私もだ。何がいい?」
『そうですね・・・。』
「あ!あれが食べたい!あのホットドック!」
咲夜は見つけたお店を指さしながら子供のように言った。


『解りました。僕が買ってきますから、ここで待っていてください。』
青藍はそういって咲夜を近くのベンチに座らせた。
「うん。飲み物は温かい紅茶が良い。」
『はいはい。解りました。ちゃんとここに居てくださいよ?』
青藍は念を押すように咲夜に言った。


「解っているさ。心配性だなぁ。」
そんな青藍に咲夜は苦笑する。
『それならいいです。では、少し待っていてくださいね。』


青藍が昼食を買って戻ると、咲夜は数人の男に絡まれていた。
そして、そんな咲夜に庇われるように女性が居る。
・・・何故だ。
青藍は大きなため息を吐く。
それから、咲夜が座っていたベンチに買ってきたものを置くと、彼らに近付いた。


「お兄さん、びっくりするくらい綺麗だね。俺と遊んでみない?」
ニヤニヤとした男が咲夜に言い寄っているようだ。
女であることがばれたわけではないらしい。
「一人ではない。」
そんな相手に咲夜はそう吐き捨てる。


「そんなこと言わずにさぁ。ちょっとあっちに行かない?」
男がそう言って咲夜の腕をつかんだ。
咲夜はすぐさまそれを振り払う。
「汚い手で私に触れるな。」
そんな言葉付きで。
それを見た青藍はその後を予想して、頭を抱えたくなった。


「ちょっと顔が良いからってそんな態度とってもいいわけ?」
少しイラついた様子の男がそう言った。
「君たちこそ、あまり私を見縊らないことだな。この子をどうするつもりだった?」
「はは。ちょっと遊んでもらうだけだよ。なぁ?」
男はそう言って仲間に視線を向ける。


「そうそう。俺たちと遊んでくれるっていうからさぁ。」
そんな男たちに女性は小さく震える。
「そうは見えないが?まぁ、聞くだけ無駄か。私は君たちのような連中が一番嫌いだ。」
咲夜は真っ直ぐに相手を見てそう言い放った。
そんな咲夜に相手は気色ばんだ。


「なんだと!?」
「聞こえなかったか?私は君たちが嫌いだと言った。」
いや、母上。
そこはもう一度言うと乱闘になるのでは・・・。


『はぁ。』
青藍は思わずため息を吐く。
そして、仕方なく咲夜たちに近付き、庇われている女性に小さく声を掛けた。
『ゆっくりこちらへ。近くに居ると危険ですから。』
女性は青藍の登場に身構えたが、ゆっくりと青藍の言うとおりにする。


『貴方は今のうちに逃げた方がいい。ここは僕らが何とかしますから。』
「でも、あの人が・・・。」
『ふふ。大丈夫ですよ。あの人は強い。僕もこう見えて腕には自信があるので。』
女性は戸惑った声を出したが、青藍の微笑みを見ると、小さく一礼して去って行った。


『咲夜さん。何をしているんです?』
青藍は微笑みながらそう言った。
青藍の登場に男たちは動きを止める。
「やぁ、青藍。何って・・・悪党退治?」
咲夜は首を傾げながら言った。


『僕はあのベンチで大人しく待っているように言ったはずなのですが。父上にご報告申し上げましょうか?』
「あはは・・・。」
瞳が笑っていない青藍に咲夜は顔を引き攣らせる。
『・・・はぁ。あまり無茶はしないでくださいよ。』
「解った。約束する。だから、白哉には内緒にしてくれ・・・。」
咲夜は懇願するように青藍を見た。


『いいでしょう。僕もこちらで暴れたことが知られるとまずいですからね。なので、咲夜さんも秘密にしておいてくださいね?』
「あぁ。もちろんだ。」
咲夜の答えを聞いて、青藍は男たちに向き直る。
相手は三人。

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