色彩
■ 35.質問コーナーB

「死神になって大変だと思うことは何ですか?」
「朝自分で起きなきゃならないこと。院生時代は毎日青藍に起こされていたからね・・・。それで、一番大変なのは自分の無力さに立ち止まりそうになること。」
「俺もたまに寝過ごすことがある。修兵さんにめっちゃ怒られるんだよな・・・。まぁ、一番大変なのは、死がすぐ隣にあること。実を言うと、俺は、毎日が怖い。」


「確かにそうね。私は、助けられない命があることだわ。数えられないくらい看取ってきたけど、まだ慣れそうにないわ。」
「僕は今咲夜さんとの稽古が大変。毎日泥だらけだもの。咲夜さん、すごく強いんだよ。こっちは斬魄刀なのに木刀で戦っているし・・・。痣がどんどん増えていくんだ。咲夜さんとの稽古は任務よりも怖い。」


『あはは。母上だからね。僕は特にないかな。この間六番隊の隊士が殉職してちょっとひと騒動あったけど。それは覚悟していたし。』
青藍はそう言って目を伏せる。
「青藍は三席だもんね。」


『うん。死神の仕事はいつだれが死ぬか解らない。だから、皆も覚悟しておいた方がいいよ。』
青藍は凛とした目でそう言った。
『それから、もし任務で仲間が殉職したとしても、一人で悲しまないこと。悲しいことも嬉しいこともみんなで分け合おう。一人で抱えてはいけないよ。』
青藍は言い聞かせるように言った。


「そうね。上官や友人に打ち明けられないのなら、四番隊に来なさい。私たちの仕事は体の傷を治すだけじゃないから。心の傷だって治して見せるわ。」
『ふふ。心強いね。』
「当然よ。私だって席官の端くれなんだから。」


『やっぱり雪乃は格好いいね。』
「流石雪乃だな。」
「うん。」
「僕も頑張ろ。」


「そう言えば、青藍って舞も出来るんだよな。」
侑李が思い出したように言った。
『あはは。まぁね。』
「殉職した隊士のために舞いを舞ったってすげぇ噂になったよな。」
「それ僕も聞いた。というか、咲夜さんが十三番隊で話していたのだけれど。」


『やっぱりあれは母上のせいか・・・。』
「青藍らしいね。」
「お蔭で女性死神内での青藍人気はさらに上がったわ。」
『あはは。別にそう言うんじゃないのだけど。そのせいで追いかけられて、大変だったんだから。』
青藍は疲れたように言った。


「はは。知ってる。お前、六番隊の隊主室で爆睡だったもんな。追いかけまわされて隊主室に逃げ込んだらしいじゃん。」
侑李がからかうように言った。
『何で知ってるの!?』
「俺丁度書類届けに行ったんだよね。そしたら青藍は拗ねて寝たって朽木隊長が。」


『父上・・・。』
「ははは。お前があんなに眠っているなんて珍しいよな。」
「なにそれ。そんな面白いことがあったなら僕にも教えてくれればよかったのに。」
京が不満そうに言う。


「僕も見たかったなぁ。拗ねて寝ている青藍。」
『もうやめて。拗ねて寝たとか恥ずかしい・・・。』
「事実だろ?」
「青藍にもそんなところがあるのねぇ。」


「つか、何で青藍舞なんか舞えるわけ?貴族は皆舞えるのか?」
『まさか。女性はほとんど舞えるだろうけど。雪乃も舞えるでしょう?』
「一応教えられてはいるわ。」
『僕は母上に教わったんだ。母上が舞っているのを見て真似をしたら、教えてくれた。日本舞踊もできるけどね。乱菊さんが教えてくれたから。』


「お母上は漣の巫女なのよね?その舞は漣家の?」
『うん。漣家独特のものらしいよ。僕が舞ってもただの舞だけど、母上が舞うと、その場の空気が変わるんだ。その場の不純物がすべてなくなったようになる。実際、母上が舞うと暫くその場所には虚なんかの穢れを持つ者は近寄ることが出来ない。その辺の虚は母上が触れるだけで消滅するらしいよ。』
「それはちょっと恐ろしいわね・・・。」

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