色彩
■ 32.十三番隊の名物

『あはは。皆酷いなぁ。・・・父上!母上!遊んでいるなら帰ってください。そう心配しなくても僕はこのくらいできますよ。』
「青藍!助けてくれ。白哉が放してくれない!」
咲夜はすでに涙目である。
『母上。それは母上の自業自得です。たっぷりお仕置きされてくださいね。』
そんな咲夜に青藍はにっこりと微笑んだ。


「青藍の鬼!悪魔!私は明日も仕事があるのだぞ!」
『ふふふ。三日分の仕事を終わらしたのでしょう?それなら問題ありません。』
「ほう?それは用意のいいことだな。」
それを聞いた白哉は面白そうに言った。
「!!!」
咲夜はしまったという顔をする。


『残念でしたね、母上。頑張ってください。』
「青藍の莫迦!阿呆!悪魔!」
微笑む青藍に咲夜はそんな言葉を投げつける。
「五月蝿いぞ。黙れ。」
白哉はそんな咲夜の口を手で塞いだ。


「む?むう!!むぐ!」
咲夜はさらに暴れる。
『父上、母上を苛めるのはほどほどになさってくださいね。』
それを横目で見つつ、青藍は苦笑していった。
「苛めてなどいない。可愛がっているのだ。」
そう言って白哉は目だけで笑う。


『相変わらずですね。』
「それは青藍もだろう。一番面白がっているのはそなただろうに。」
『あはは。ばれていましたか。』
「当然だ。」


『ふふ。さすが父上です。さぁ、そろそろお帰りになった方がよろしいかと。今日は貴族の方もいらっしゃるようですから。父上が母上をこれまで隠してきた努力が無駄になってしまいますよ。』
「それもそうだな。これ以上咲夜に興味を持たれては敵わぬ。」
白哉はそう言うと、咲夜を抱き上げる。


「うわ!ちょっと、降ろせ!白哉!?」
それと同時に塞がれていた口が自由になった咲夜はそんな叫び声を上げる。
「邪魔をした。」
白哉は暴れる咲夜を気にすることなくそう言って姿を消したのだった。


『・・・ふぅ。皆さまお騒がせいたしました。』
「私からも詫びよう。」
青藍とルキアはそう言って軽く頭を下げる。
『あれが十三番隊の名物となりつつあるので、十三番隊を希望している人は心してくださいね。まぁ、六番隊も同じようなものですが。』


「ははは。六番隊なら青藍が止められるが、私にはあれを止めることは出来ぬからな・・・。」
ルキアはそう言って遠い目をする。
『ルキア姉さまが気に病むことはありませんよ。今日は十四郎殿まで参加していましたからね。まあ、あれに春水殿が加わるともっと大変なのですが。父上は春水殿に厳しいので。』


「千本桜が出てくるからな・・・。あれを止められるのは青藍位だ。」
『ふふふ。』
「笑って誤魔化すな。・・・では、私も帰る。ちゃんと頑張るのだぞ、青藍。」
『はい。』
青藍はそう返事をして微笑む。
それを見たルキアは青藍の頭を一撫ですると、その場から姿を消した。


「・・・ほんと、青藍が味方で良かったぜ。」
「うん。青藍って本当にすごいよね・・・。朽木隊長と咲夜さんって見ている分には面白いけど、関わるとなると大変だもん。」
「そうね・・・。隊長たちが相手でも負けてないもの。」
「まぁ、あの両親だから仕方ないのかもしれないね。」
成り行きを見ていることしか出来なかった四人が呟く。


「でも、もしかすると、あの青藍を手懐けている朽木副隊長が一番強いのかもしれないわ・・・。」
「「「確かに。」」」
雪乃の言葉に皆が頷いた。


「というか、お仕置きって何なの?咲夜さん涙目だったけど。」
キリトが首を傾げながら言った。
『ふふふ。聞きたい?』
その問いに青藍は妖しい笑みを浮かべる。
「うん!聞きたい!」
キリトはそれに気が付いていないのか、そう言った。


『それはね・・・。』
青藍はそう言って話し始めようとする。
「ちょ!?ストップ!止まれ!やめろ、青藍。」
妖しい気配に気が付いた侑李が慌てて止める。


『どうしたの?』
「うん。青藍、その話はやめようか。何か危険な気がする。いろいろと。」
「そうね。というか、怖くて聞けないわ。」


『ふふ。あの母上が聞いただけで涙目になるくらいだからね。あ、でも暴力とかじゃないから安心してね。というか、力では母上の方が上だし。まぁ、その力も父上の前では意味をなさないのだけれど。』
青藍の言葉に、四人はこれ以上踏み込まないことにしたのだった。

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