色彩
■ 27.講義の始まり

「おぉ。凄い人だな。一回生から六回生までみっちりじゃねぇか。」
会場に入るとそこは院生で埋め尽くされていた。
「あはは。霊術院ってこんなに生徒が居たんだね・・・。」
「本当に生徒だけなのかしら・・・?」
『うーん・・・。何だか貴族が多い気がするね。』
「やっぱり朽木家効果?」


『ははは。面倒だなぁ。』
青藍はげんなりとする。
「相変わらずなのね。最近茶羅様が貴族の会合に出ているのはそのせいかしら?」
『茶羅はあぁいうのが好きなのさ。社交的だしいいんじゃないかな。』


「お前も十分社交的だと思うけどな。」
『ふふ。でも僕は面倒くさがりだから。橙晴なんて一度も顔を見せたことないんだよ。』
「そう言えば、橙晴も居るんだったな。何処に居るんだ?」
侑李はそう言って見渡す。


『一回生の一番前に居るよ。あの、ポニーテールにしている子。』
「朽木隊長に似てきたね。」
「確かに。」
「久しぶりに見たわ。」
「たまに護廷隊に来るよね。茶羅ちゃんと一緒に朽木副隊長の所に顔を出すもの。」


『僕の所にも来るよ。』
「弟も座学はサボりか。」
『あはは。まぁ、橙晴も朽木家で一通り教えられているからね。でも一回生の首席だそうだよ。』
「橙晴様も優秀なのね。」
『僕の自慢の弟だよ。』


そんな話をしつつ、青藍たちは壇上に上がる。
それを見た生徒たちは次第に静かになった。
「皆さん、こんにちは。本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございます。私どもは今年の四月から護廷隊に配属されたばかりゆえ、気兼ねなく、質問してくださって結構です。よろしくお願いいたします。」
雪乃の言葉で皆が軽く頭を下げる。


「さて、まずは自己紹介と行きましょう。私は四番隊第十五席、朝比奈雪乃と申します。」
「俺は九番隊の朝霧侑李だ。何人か知った顔があるな。」
「卒業したばかりだからね。僕は十番隊所属の御剣京。よろしく。」
「僕は十三番隊、篠原キリトです。よろしくお願いします。」


『そして、私は六番隊第三席、朽木青藍と申します。まだ新人ゆえ、至らない点もあると存じますが、本日はよろしくお願いいたします。』
そう言った瞬間、大きなざわめきが起こる。
貴族らしい所作と雰囲気、一人称が変わっている青藍に他の四人と橙晴は苦笑いであるのだが。


「では初めに所属している隊についてお話してもらいましょう。と、その前に、私、普通に話してもいいかしら?」
「あはは。いいんじゃねえの。」
「うん。青藍も普通に話そうよ。」
「僕ら、その方が落ち着くなぁ。いつもと違いすぎるもの。」


『・・・あはは。やっぱり?貴族が多いようだから、ちゃんとしようかと思ったのだけれどねぇ。』
「似合わないからやめなさい。胡散臭いわよ。」
『え、雪乃酷い。ま、僕がこんな話し方をしたっていうのは、親御さんたちには内緒にしてね。父上に怒られちゃうから。』
青藍はそう言って唇に指を立てて微笑んだ。
その姿に黄色い歓声が上がる。


「・・・やっぱり、青藍だよな。」
「そうだね。しかもちゃっかり朽木隊長の名前でけん制しているし。」
「ほんと、青藍だけは敵に回したくないや・・・。」
「そうね。」

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