色彩
■ 26.特別講師

『そうそう、父上。』
「何だ?」
『今度、霊術院で新人隊士が講師をやるらしく、僕も呼ばれているのですが、行ってきてもいいですか?彼らも一緒なのですが。』
「行ってやるといい。橙晴も喜ぶだろう。」


『ふふ。そうですね。では、行かせていただきます。その日の仕事は恋次さんにお任せしました。ね、恋次さん?』
「おう。それは引き受けてやるよ。」
『ありがとうございます。父上、付いてきたりしないでくださいね?』
青藍はそう言って悪戯っぽく微笑む。


「・・・私とてそう暇ではない。」
『暇だったら付いてくるのですか?』
「・・・さあな。」
『ふふふ。付いてくるのですね。相変わらず過保護ですねぇ。』
「五月蝿いぞ。」
白哉は横目で笑う青藍を見ながら言った。


『そんな顔しないでください。父上が拗ねても可愛いだけですよ。』
青藍の発言にその場にいた者たちは目を見開いて動きを止める。
恋次などはすでに青褪めている。
「何故そなたに可愛いなどと言われねばならぬのだ・・・。」
白哉は諦めたように言う。


『ふふ。母上の真似です。あ、でも父上に可愛いところがあるのは本当です。特に寝ぼけた父上は可愛いです。小さな子供に懐かれて困って居る父上も捨てがたいですけど。』
そんな周りを気にすることなく青藍はにこにこといい笑顔だ。
「・・・仕事に戻れ。」
青藍には敵わないと諦めたのか、白哉はそう言って踵を返す。
『ふふ。はーい。』
青藍はそれを楽しそうに見送った。


「・・・やっぱり、青藍って大物だな。」
「うん。あの朽木隊長に可愛いって・・・。」
「そんなことを言っても朽木隊長怒らないんだね・・・。」
「私、青藍が味方で良かったわ・・・。」
「はは。俺もよくそう思うぜ・・・。」
それを見ていた五人は口々に呟く。


『ん?みんな、どうしたの?』
当の青藍はけろりとしている。
「いや、お前が味方で良かったな、と思って。」
「うん。僕青藍だけは敵に回したくないや・・・。」
「私も。」
「僕も。」


「その無自覚さが治ればもっといいんだがな・・・。」
「「「「確かに。」」」」
そんな五人に青藍は首を傾げるだけだった。


そして霊術院で講師をやる日になった。
青藍たち五人は霊術院の門を潜る。
『なんだか懐かしいね。』
「だな。俺らまだ卒業して一年も経ってないのに。」
「それにしても、凄い人ねぇ。きっとほとんど、青藍目当てでしょうけど。」
現役の死神が来ると聞いて術院の生徒が集まっていた。


『そんなことないと思うよ。』
「僕大丈夫かな・・・。」
「キリトなら大丈夫だよ。いざとなったら青藍が居るし。」
「そうだな。頼んだぞ、青藍。」
『あはは。責任重大だなぁ。』


「は?なんでお前らここに居るんだ?」
五人で校舎を歩いていると、睦月が現れた。
『あ、睦月だ。僕ら今日の特別講師なの。』
「へぇ。お前らがねぇ?問題児五人組だろ。」
「ははは。先生容赦ないっすね。」


「五月蝿いぞ。お前らのせいで俺の平穏が台無しだ。」
睦月はげんなりしたように言う。
『睦月が朽木家の医師だってばれたのは僕のせいじゃないよ。』
「お前のせいだろ。お前が朽木青藍だとバレてから俺のことまでばれたんだぞ。」


『ふふ。父上がうっかり睦月の名前を呼んじゃったからね。でも、優しくて温和な草薙先生っていうキャラは守られているでしょ?』
「当然だ。俺の猫被りを甞めるなよ。」
『威張ることじゃないと思うけどね・・・。』

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