色彩
■ 25.お仕事のお誘い

それはある日のこと。
青藍はいつも通り執務をこなしていた。
「失礼します。朽木三席はいらっしゃいますか?」
そんな声と共に侑李、京、キリト、雪乃が現れた。
『どうしたの、四人そろって。』
青藍はそれを見て目を丸くした。


「久しぶりだな、青藍。」
「そうだね、久しぶり。」
「青藍ったら、全く顔を見せないんだから。」
「僕はたまに会うけどね。青藍、副隊長を迎えに来るから。」


『あはは。ごめんね。なかなか連絡できなくて。仕事中は余裕があるのだけど、中々非番は取れなくて。』
青藍はそう言って苦笑する。

「そんな青藍に仕事だ。」
「そうそう。五人で飲むより先に、一緒に仕事をすることになるとは思わなかったよ。」
「僕も。」
「私もよ。」
そう言いつつも皆楽しそうである。


『仕事って?』
「「「「霊術院の講師。」」」」
『え?』
青藍はその答えに目を丸くした。
『僕、そんな話聞いていないけど・・・。』


「ま、そうね。卯ノ花隊長の独断だもの。」
『烈先生の?』
「えぇ。丁度いいから皆で行きなさいって。」
丁度いいから・・・?
青藍は疑問に思いつつも、烈先生だから仕方ないか、と早々に諦める。


「僕らが霊術院に居た頃に卒業したばかりの新人の先輩が話に来たことがあったでしょう?あれの依頼が雪乃の所に来たんだって。」
「そしたら、卯ノ花隊長が丁度いいからって。何が丁度いいのかは解んねえけど、ま、楽しそうじゃん?修兵さんにも許可はもらって来たぜ。」


「僕もちゃんと話せるかは心配だけど、皆と会えるなら行ってきなさいって、浮竹隊長が。」
「松本副隊長は面白そうだし行って来れば?って。」
『・・・そう。僕は、どうだろう?父上に聞いてみないと。』


「行けばいいじゃねえか。」
そう言って恋次が現れる。
「「「「お疲れ様です、阿散井副隊長。」」」」
「おう。お前らもな。」


『行ってもいいですか?』
「いいんじゃねぇか?隊長も駄目とは言わないだろ。仕事は俺に任せとけ。」
『本当ですか!?』
青藍は目を輝かせる。
「おう。行って来いよ。隊長にちゃんと伝えてからな。」


『はい!流石阿散井副隊長!格好いいです!後で鯛焼きおごってあげます。』
「お前、俺のこと馬鹿にしてんだろ・・・。鯛焼きで釣れると思いやがって。」
『いいえ!感謝していますよ、阿散井副隊長。』
「お前が俺をそう呼ぶときは大抵馬鹿にしてんだぞ。」


『あはは。ばれました?』
「バレバレだ。つかやっぱり馬鹿にしてんじゃねぇか。」
『ふふふ。』
「笑って誤魔化してんじゃねぇ。」
『あは。感謝しているのは本当です。ありがとうございます、恋次さん。』
青藍はそう言って微笑む。


「・・・お前、それずるいぜ。」
「ふふ。青藍ってば変わらないのね。」
「そうみたいだね。」
「阿散井副隊長も苦労するな・・・。」
「でも、仲良しでいいね。」


「恋次、何を騒いでいる。」
「うおぉう!?」
突然後ろから聞こえた声に恋次は飛び上がった。
書類を持った白哉がそれを呆れたように見つめる。
「「「「お疲れ様です、朽木隊長。」」」」
そんな白哉に四人はそう言って一礼する。


「あぁ。・・・青藍、これを頼む。」
『解りました。恋次さん、お仕事だそうですよ。』
青藍は白哉から受け取った書類を恋次に差し出す。
「いやいや、今隊長はお前に頼んだよな!?」
『えーさっき仕事は俺に任せておけって言ったじゃないですか。』


「ほう。それは真か?」
白哉は面白いことを聞いたという風に言う。
「いや、その、ですね。それは・・・。」
『いいましたよね?恋次さん。』
しどろもどろになった恋次に、追い打ちをかけるように言った。


「そうか。では存分に仕事をしてもらおう。」
「お前・・・覚えていろよ。」
そんな青藍に恋次は恨みがましい視線を向ける。
『あはは。嘘です。冗談ですよ。遊んでみただけです。さっきの話、聞こえていたんですよね、父上?』
「そうだな。」


「ちょっと、二人とも酷くないすか・・・。」
「青藍、あまり恋次で遊んでやるな。」
落ち込んだ恋次を一瞥して白哉は言った。
『父上だって遊んだくせに。まぁ、ほどほどにしておきます。父上も恋次さんで遊ぶのはほどほどにしてくださいね。』


「考えておこう。」
悪戯に言った青藍に、白哉もまた悪戯な瞳をする。
「・・・何なんだこの親子は。」
楽しそうな親子に恋次は項垂れた。


「あはは。大変そうですね、阿散井副隊長。」
「あの二人相手じゃ、分が悪すぎますね。」
「朽木隊長って意外とお茶目さん?」
「そのようね。青藍一人でも大変でしょうに・・・。」
雪乃は恋次に同情するように言った。


「お前らも結構容赦ないよな・・・。さすが青藍の友達だぜ・・・。」
そんな四人に恋次はため息を吐きつつ言った。
「ふふ。その位じゃないと青藍の友達何てやっていられませんわ。」
「そうだな。」
「確かに。」
「うん。」
そんな四人に恋次は諦めの表情を見せたのだった。

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