色彩
■ 24.全員集合

「まだ起きないのか?」
「そうだな。」
「青藍兄様、疲れたのかな。」
「そうよ。兄様は頑張っておられるもの。」
「それにしても寝すぎではないか・・・?」
そんな声が聞こえた気がして、青藍の意識は暗闇から浮上した。


『ん・・・。んん?』
そんな声をだしながら、青藍は瞼を開けた。
「あ、起きましたよ、父上。」
「起きたか。」


「兄様、おはようございます。」
「青藍、もう定刻だぞ。」
「昼寝にしては長すぎないか?」
皆の呆れたような顔が目の前にある。


『定刻・・・?うわ!僕そんなに寝ていましたか!?』
青藍は慌てて起き上がる。
「あぁ。私たちが来ても眠っているなんてな。」
「兄様がこんなに眠っているなんて珍しい。」
「兄様、疲れは取れました?」


『うん。父上、起こしてくださいと言ったじゃないですか・・・。』
青藍は恨めしげに白哉を見る。
「よく眠っていたようだからな。」
「そうだな。起こすのがもったいない寝顔だった。」
咲夜は楽しげに言った。


『何ですかそれは・・・。というか、これ、なんです?いや、これは・・・。』
青藍はそう言って自分が抱いていたものを見る。
「チャッピーのぬいぐるみだ。おいてみたら、抱き枕にし始めたのだ。」
「青藍可愛かったぞ。」
「そうですね。可愛かったです。」
「茶羅も兄様が可愛いと思いました。」
「まだまだ子どものようだな。」
咲夜を始め、皆が楽しげな視線を青藍に向ける。


『皆して・・・。』
青藍は拗ねたように言った。
「ははは。そう拗ねるな。疲れていたのだろう?休めたか?」
咲夜はそう言って青藍の頬に手を伸ばす。
『・・・はい。』
青藍は少し恥ずかしそうに頷いた。


『それより、何故みんなここに居るのです?』
青藍は家族が全員集合していることに首を傾げる。
「十三番隊の仕事が早く終わったからな。たまには私たちで白哉を迎えに行こうかとルキアと二人でやってきたのだ。」
「茶羅は暇だったので仕事をする父上たちを見に来たのです。」
「僕は霊術院を抜け出してきました。」


『つまり、偶然皆が揃ったという訳か・・・。』
「ふふふ。お蔭でいいものが見られましたわ。」
茶羅はそう言って笑う。
「青藍、起きたのなら邸に帰るぞ。」


白哉はそういって立ち上がる。
それに続いて皆立ち上がった。
青藍もまた立ち上がる。
皆で執務室に出ると、まだちらほらと隊士が居た。
白哉たちを見て立ち上がり、挨拶をする。


『あれ?僕、今日ほとんど仕事をしていない気がするのですが・・・。どうして書類が残っていないのでしょう?』
自分の執務机に書類がないことに気が付いた青藍は首を傾げた。
「気にする必要はない。」
『もしかして、父上が?』


「さぁな。」
白哉は知らん顔で歩みを進める。
『・・・ありがとうございます。』
そんな白哉に青藍は小さくお礼をいう。
そんな二人を咲夜は楽しげに見つめていたのだった。

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