色彩
■ 15.お風呂

「ただいまー!・・・って、青藍にルキアじゃないか。」
二人で笑っていると、咲夜と白哉が帰ってきたらしい。
『あれ?お出かけになっていたのですか?そして、何故お二人とも濡れているのです?しかもずぶ濡れじゃありませんか。』
「・・・咲夜が池に落ちたのだ。」
白哉がげんなりしたように言った。


『それで、何故父上までずぶ濡れなのです?』
「池から引き揚げようとしたら、咲夜が引っ張ったのだ。そのせいでこのようなことに・・・。」
そういって白哉はため息を吐く。
『あはは。母上・・・。』


「いいじゃないか。水も滴るいい男だろう?」
「これはずぶ濡れというのだ。」
「私が池に落ちる前に助けてくれない白哉が悪い。」
「目を離した隙に池のふちを歩いているからだ。」


二人はそういって言い合いを始める。
ルキアはそれを苦笑いで見つめるだけだ。
『まぁまぁ、お二人とも落ち着いてください。とりあえず、お風呂にでも入ってきたらどうですか?風邪を引いてしまいます。』
「・・・そうだな。」
青藍の言葉に白哉は頷く。


「ふふ。青藍も一緒に入るか?」
咲夜はそういって悪戯に笑う。
『入りませんよ。僕をいくつだと思っているのですか・・・。』
青藍は呆れたように言った。
「ははは。そうか。じゃぁ、ルキア、一緒に入るぞ。」
「私、ですか?」
「そうだ。なんとなく今の白哉と入るのは身の危険を感じるからな。」


『母上も学習するんですねぇ。』
「五月蝿いぞ。そこで不満そうな顔をしている白哉は青藍とでも入るんだな。よし、行くぞ、ルキア。」
「あ、はい。姉さま。」
咲夜はそう言ってルキアを引きずるようにして湯殿へ向かった。


『ふふ。母上と姉さまは仲が良いですねぇ。』
「そうだな。」
『父上も早く湯殿へ向かわれては?朽木家の湯殿は一つではないのですから。』
「青藍も入るのか?」
『そうですねぇ、父上は僕と入りたいですか?』
青藍は面白がるように微笑みながら白哉に聞いた。


「・・・私にどんな答えを求めているのだ。」
白哉は呆れたように言った。
『ふふふ。僕にもよく解りません。でも、そうですね。せっかくなので一緒に入ってもいいですか?』
「構わぬ。」
『では、ご一緒させていただきます。』


『・・・ふぅ。いい気持ちです。』
体と髪を洗い、湯船へと浸かった青藍はそう言った。
『それにしても・・・父上はやっぱりいい体をしていますねぇ。』
青藍は湯船につかりながら、体を洗っている白哉を見ていった。
「そうか?」


『はい。僕はまだ、子どもなのだと思い知らされます。父上と比べるとまだまだ細いですから。身長だってやっと母上と同じくらいです。』
青藍は自分の体と白哉の体を見比べながら不満げに言った。
「すぐに大きくなる。」
そんな青藍を見て、白哉は小さく笑みを零した。
そして体の泡を洗い流すと、湯船へと入ってきた。


『・・・父上、誰かを好きになるというのはどういうことですか?』
青藍は唐突に言った。
その質問に、目を丸くしてから、白哉は考えるように沈黙する。
「・・・その者のことを考えると、心が落ち着かなくなる。」
『その好きは他の好きとは違うのですか?』
「そうだな。」


『父上が母上のことが好きだと気が付いたのはいつなのですか?』
「・・・前に咲夜のことを話したな。」
『はい。』
「咲夜が父親である鏡夜殿を斬って、森羅が砕けたとき、咲夜は血だらけで弱々しかった。そして、私の目の前で意識を失ったのだ。」
白哉は目を伏せて思い出すように言った。

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