色彩
■ 14.お見合い写真

「ふふ。相変わらずだね、青藍。お姉さんのこと大好き過ぎだよ。」
キリトはその様子をみて笑いながら言った。
『だって、この姉さまだよ?可愛いよ。父上と母上が大切にするのも解るなぁ。』
「・・・副隊長に恋人でも出来たら大変そうですねぇ。」
「確かに。というか、副隊長の恋人になる人はさぞ苦労するのでしょうね。」
隊士たちは呆れたように言った。


『ふふん。姉さま、そういう方が出来たらちゃんと教えてくださいね?橙晴と茶羅との三人で姉さまに相応しいか見てあげます。』
「朽木隊長や咲夜さんの前に朽木家の三兄弟のお眼鏡に適わなくてはならないのですか。それは大変ですねぇ。」


『当然です!僕らの大切な姉さまなのですから。』
「私がそう言う相手を見つけるのは何時になるのだろうな・・・。兄様も私への見合い話は全て蹴っているらしい・・・。」
ルキアはそう言って苦笑する。


『ふふふ。父上が姉さまをその辺の貴族なんかに渡すはずがないでしょう。あの父上が命を懸けて守る女性は母上とルキア姉さま、それに茶羅くらいです。』
「副隊長も大変ですね。家族の仲が良いのは羨ましいですが。」
「そのようだな。私が結婚することなどないのかもしれぬ。特にその願望もないが。青藍たちが幸せならばそれでいいからな。」


『姉さまの結婚相手が居なかったら僕が姉さまを貰ってあげますよ。そうしたら僕は姉さまを一生幸せにします。』
青藍は甘く微笑んでいった。
「ははは。そうか。それは頼もしいな。」
ルキアはそれに笑って答える。


「・・・青藍君、一体どこまで本気なんでしょうね。」
青藍の表情を見て隊士が呟く。
「本気だったら、朽木隊長は頭を抱えそうですね・・・。」
「あの二人、血の繋がりはないからな。結婚するのには問題ないんじゃないか?」
「そうだとしてもいろいろと複雑なのでは?」


「「「苦労するなぁ。」」」
隊士たちはそう言って白哉に同情したのだった。
そんな心配をされているが、青藍は家族としてルキアを溺愛しているだけで、彼にその気はない。
ルキアはルキアで、そう言った青藍の悪戯な瞳に気付いているのだった。


そんなことを話した後、青藍は浮竹の見舞いに行き、適当に挨拶をして、ルキアと共に邸へと帰った。
しかし、邸の中へ足を踏み入れると、そこには何やらたくさんの本のようなものが積まれていた。


『何だろう、これ。』
「何だろうな。」
二人は邸に上がってその中から一つを開いてみる。
そこには貴族と思われる女性の写真があった。


『これは・・・。』
「見合い写真だな。」
『いったい誰に・・・?』
青藍はそう言って首を傾げる。


「お帰りなさいませ、青藍様、ルキア様。」
奥から清家が現れた。
『ただいま。』
「ただいま帰りました。」
『それで、これ、何?』
青藍はお見合い写真の山を指さして清家に問うた。


「すべて、青藍様へのお見合い写真にございます。」
『・・・僕に?』
「はい。全て。」
そう頷いた清家に青藍は苦い表情になる。
「ほほ。白哉様もそのようなお顔をされておりましたなぁ。」
それを見た清家は懐かしむように笑った。


『笑わないでよ・・・。これ、全部見るの?』
「とりあえず、一通り目を通していただきます。」
『えぇー。』
青藍は不満げな声を出した。


「ほほ。全員の方とお見合いするか、すべての写真に目を通すか、私はどちらでも構いませんが。」
清家はそう言って微笑む。
『・・・。』
その微笑に青藍は黙り込んだ。
「如何いたしましょう?」


『・・・後で写真を見ておくよ。』
「では、そのように。お部屋に運んでおきます故。」
清家はそう言って一礼すると、どことなく楽しそうな雰囲気を醸し出しながら、青藍たちに背を向けて使用人に指示を出す。
『・・・はぁ。』
その姿を見て、青藍は深いため息を吐いた。


「大変だな、青藍。」
隣に居るルキアは同情するように言った。
『そのようです。僕、今のところ結婚に興味はないのですけど。それに政略結婚なんて詰まらないじゃないですか。』
青藍は拗ねたように言った。


「そう拗ねるな。兄様だって無理強いはなさらないだろう。兄様も結婚に関しては一度無理を通した方だからな。」
ルキアはそう言って悪戯っぽく笑った。
『あはは。そうでしたね。ルキア姉さまを朽木家の養子に迎えるときも無茶をなさったそうですし。』


「そうらしいな。だから、青藍も好きにしていいのだぞ。」
『はい。姉さま。ありがとうございます。』
「ふふ。青藍に結婚相手が居なかったら、私が青藍を貰ってやろう。」
ルキアは得意げに言った。


先ほどの十三番隊での会話のお返しらしい。
『あはは。それは頼もしいですねぇ。』
「そうだろう?」
そういって二人はくすくすと笑いだしたのだった。

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