色彩
■ 13.僕らの副隊長

「終わったー!!終わりましたよ、先輩!」
青藍がそんなことを考えていると、執務室の中から聞き覚えのある声が聞こえた。
「おーよしよし。よくやった、キリト。」
「俺も終わったぞー。」
「私も。」
そして、それに続いて次々と終わったという声が上がる。


『皆さん、お疲れ様です。』
そんな姿をみて、青藍は微笑みながらそう言った。
「青藍君・・・じゃなかった、朽木三席!」
「いつの間に!?」
「うわぁ、本物の朽木三席だ!三席が入隊してから顔を見る機会がなくて残念に思っていたのですよ。」
青藍に気が付いていなかったのか、隊士たちは驚きの声を上げる。


『あはは。いつも通り呼んでくださいよ。朽木三席だなんて余所余所しい呼び方はしないでください。』
青藍は苦笑していった。
「それで、青藍はなんでここに居るの?」
キリトが不思議そうに言った。


『十四郎殿のお見舞いついでにルキア姉さまと帰ろうと思って来たのだけど、忙しそうだから手伝っていたんだよ。』
「まじか!ありがとう、青藍君。」
「きゃー、ここに心身ともにイケメンが居る!」
「青藍君も忙しいだろうに、すまないね。」


『いいんですよ。六番隊の仕事は終わっていますからね。それに、姉さまが大変そうですから。』
「そうだ!副隊長、今日休憩取ったのかな・・・。」
「副隊長って集中すると、休憩するの忘れるのよね。」
「そうそう。僕らにはすぐに休憩を取らせるくせに。」
「疲れていないか心配ですね。今日は任務にも出ていましたし。」
そう口々にルキアを心配する隊士たちに、青藍は嬉しくなる。


『ふふ。皆ルキア姉さまが心配なんですねぇ。』
「当たり前でしょ。僕たちの副隊長なんだから!青藍のお姉さん、っていうだけじゃないんだからね!」
キリトの言葉に隊士たちは頷く。
『あはは。そうだね。』


「俺なんか副隊長が入隊したときから知っているんだからな。青藍君より副隊長との付き合いは長いんだぞ。」
「何言ってんだよ。お前、彼女が入隊してきたとき遠巻きに見ていただけだったくせに。」
「それは、仕方ないだろう。朽木家の人って聞いたら気軽に話しかけるわけにはいかないだろうに。志波副隊長が普通に話しかけたときはひやひやしたぜ。」


『あはは。でも、今はそんなことないでしょう?』
「もちろん。副隊長は頑張り屋で、優しくて、可愛くて、朽木家の人とかどうでも良くなったよ。副隊長として尊敬できる方だ。」
「そうそう。任務も書類整理もなんでもこなしてしまうし。僕らの何倍も働いているのにいつも僕らを気遣ってくれる。」


「女の私から見ても格好いいわ。戦っている時の凛とした姿なんて惚れ惚れするもの。」
『ふふ。皆さんにそう言ってもらえると、なんだか僕も嬉しいですね。』
青藍はそう言って嬉しそうに微笑む。
「僕らの十三番隊の副隊長ですからね!僕らにとっては護廷十三隊の中で一番の副隊長です。」
「自慢の副隊長だよね。」
隊士たちはそう言って誇らしげな顔をする。


「・・・何を騒いでおるのだ?」
そんな話をしていると、お茶を入れに行っていた清音と共にルキアが現れた。
「「「副隊長、お疲れ様です。」」」
「あぁ。皆もお疲れ様。仕事は終わっているようだな。」


「もちろんですよ。」
「僕ら頑張りましたからね!」
隊士たちは次々とルキアに声を掛ける。
「青藍君も手伝ってくれたのですよ。」
『ふふ。姉さまを待つ間のほんの少しだけです。』


「そうか。ありがとう、青藍。」
ルキアはそう言って微笑む。
『姉さま、可愛い!』
青藍はそれを見て思わずルキアを抱きしめた。
「わ!青藍!?」


『やっぱり姉さまは可愛いですよねぇ。』
戸惑うルキアをよそに、青藍はそんなことを言ってさらにルキアを抱きしめる。
「こら!青藍、いい加減子供のように抱き着くな!自分の力を考えろ!私を窒息させる気か!」


『あはは。苦しかったですか?』
「当たり前だ!私よりも大きくなったのだから加減位しろ。」
『はぁい。』
ルキアに叱られつつも青藍はどこか楽しそうだ。

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