色彩
■ 9.応援要請

「おい青藍、って何だ?このゆるい空気は。」
そういって副官室から恋次が出てきた。
『あはは。皆で休憩中です。』
「まぁ、いいけどよ。青藍、任務だ。行って来い。」


『任務?何処ですか?』
恋次の言葉に青藍の雰囲気が変わった。
「東流魂街23地区。逃げ足が速いんだとよ。ルキアから応援要請が来た。すぐに行けるか?」


『姉さまから?・・・そうか。今日は母上も非番でしたね。すぐに行きます。』
「じゃ、頼む。気をつけろよ。」
『ふふ。大丈夫ですよ。僕、恋次さんより強いですから。』
「斬魄刀を解放しなければ、だけどな。さっさと行け。」
『はぁい。行ってきまーす。』


青藍が到着すると、十三番隊の隊士たちが右往左往している様子が見て取れた。
『姉さま!』
「青藍か。見ての通りだ。先ほどから出たり消えたりしていてな・・・。」
『そのようですね・・・。』
青藍はそういって霊圧を探る。
そして、ある場所に微かな違和感を感じ取った。


『姉さま、相手は複数ではありません。』
「そうなのか?報告には複数とあったぞ?今も複数出ているようだ。」
青藍の言葉にルキアは目を見開く。
『いえ、複数といえば複数なのですが、先ほどから出たり消えたりしているのは本体ではない気がします。』
気配を探りながら青藍は言った。


『僕、ちょっと周りを見てきますね。』
「あぁ。頼む。」
『その間、彼らと遊んで適当に泳がせておいてください。』
「解った。気を付けるのだぞ。」
『はい。姉さまも。』
青藍はそう言って駈け出す。
そして、霊圧を閉じ、鬼道で姿を隠すと、先ほど違和感を感じ取った場所へと向かった。


・・・やっぱりいた。
青藍がその場所に着くと、そこには一体の虚が居た。
「ひひひ。死神たちめ、右往左往しておる。」
ニヤニヤと笑って死神たちの様子を伺っているらしい。
「いち、にい、さん・・・。うまそうな死神もおる。喰ろうてやろう。ひひ。」
青藍はそれをみて、一度、ルキアの元へ戻ることにした。
斬魄刀の解放をする必要が出てきたからだ。


姉さまはともかく一般の隊士たちには避難してもらわないと。
姉さまでも気が付かないほどに霊圧を隠すことが出来る虚である。
知能も高いようだ。
その辺の隊士では相手になるまい。
青藍はそう判断して、ルキアのもとへ急ぐ。


『姉さま!隊士たちを避難させてください!』
「青藍?どうしたのだ?」
『あの林の向こうに本体らしき虚が一体居ました。これほどうまく霊圧を消すことの出来る虚です。隊士たちが危険です。』


「解った。・・・隊士は皆、こちらに戻れ!」
ルキアの指示に従い、隊士たちは青藍たちの元へかけてくる。
その中にはキリトの姿もあった。
「青藍!」
『キリト!久しぶりだね。』


「青藍が応援に来たんだね。」
キリトはそう言ってにっこりと微笑む。
『うん。キリトは危ないからここに居てね。僕の斬魄刀はちょっと他人を巻き込みやすいから。』
「そうなの?」


『うん。見ればわかると思うけど。・・・姉さま、隊士たちに結界を張らせてください。僕が行きます。』
「頼んだぞ、青藍。皆、結界を張れ!」
ルキアの指示に従い、隊士たちは結界を張った。


『・・・これでいいですね。姉さまも一応ここに居てくださいね。』
「あぁ。わかった。気を付けてな。」
『ふふ。はい、姉さま。』
青藍はそう言ってルキアたちから距離を取る。


『火、天に集いて、水、地に集い、雷、天地を結びて裁きを下す、鳴神!』
始解と共に空を雲が覆い、空気がビリビリと震える。
『一の裁き、春雷!』
その声と共に落雷がおこる。
そしてその雷が落ちた場所は先ほど虚が居た場所だった。
雷が落ちた瞬間、悲鳴と共に虚が姿を現した。


『君が本体だろう?』
青藍はそう言って虚を見る。
「・・・なぜわかったのじゃ。」
『ふふふ。それを虚に教えるほど、僕は優しくないよ。』


「・・・ほう、なるほど。先ほどここを駆け回っていた者どもよりは腕が立つようじゃの。」
虚はそう言って先ほど死神たちが追いかけていた虚もどきを繰り出してきた。
青藍が刀を振るうとそれは真っ二つに斬られる。


『小細工はやめなよ。こんなものでは僕の相手にならない。』
青藍は挑発するように言った。
「生意気な!」
虚はそれが気に入らないのか、先ほどよりも多くの虚もどきを出してくる。


『・・・雷閃。』
青藍がそう呟いた瞬間、光が迸り、虚もどきは全て消え去った。
「な・・・。」
その様子に虚は驚きを隠せないようだ。
そして、青藍の実力を見抜いたのか、逃げようと一歩後ずさる。

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