色彩
■ 8.隊士たちとのお茶

ある日のこと。
いつものように書類整理を終え、暇を持て余していた青藍は隊士たちと共に執務室でまったりとお茶を飲んでいた。
『今日も平和だねぇ。』
青藍はのほほんと呟く。


「そうですねぇ。」
「いいお天気ですし。」
『父上は今日、非番だしね。父上が居ないと恋次さんはのびのびとしているよねぇ。』
「ははは。いつも怒られていますからね。」
『ふふ。そうそう。でもあの二人意外と仲が良いんだよね。』


「息ピッタリですもんね。」
「朽木隊長はそうは見せませんけどね。」
『父上は素直じゃないからなぁ。恋次さんを怒っているのだって半分遊んでいるんだよ。恋次さんは気付いていないようだけど。』


「そうなのですか?」
『うん。どことなく楽しそうだもの。それに、父上は興味のない人間にあそこまで叱ることはしないよ。』
青藍はそう言って笑う。
「副隊長も、大変ですね。」


「そうですか。あれは隊長の副隊長への愛なんですね。」
『あはは。そうだよ。恋次さんには伝わっているのかどうか怪しいけどね。母上と一緒に居るところを邪魔されると恋次さんに八つ当たりするのも父上が信頼している証拠だし。』


「副隊長はいつも涙目ですけどね・・・。」
「大変そうだよな、副隊長・・・。」
隊士たちは苦笑する。
『あはは。』

「・・・時に、三席。」
『なんだい?』
「今月に入って何人に告白されましたか?」
『え?』
唐突な質問に青藍は首を傾げる。


「・・・なるほど。覚えていないくらい告白されているんですね。羨ましい。」
「ちなみに、今月になって三席に告白した者の数は6人です。」
「本当に、青藍さんはモテますねぇ。」
『・・・ちょっと、なんで君が知っているの。』
青藍は呆れたように言った。


「ふふふ。俺は今月の裏庭の掃除当番ですからね。」
問われた隊士は得意げに言った。
「そうだったな。知っていますか、三席?最近六番隊の裏庭掃除は三席が何人に告白されるか数えているんですよ。」


『君たち、何をしているの・・・。』
「一か月に何人の女の子が三席に告白するか、賭けているのですよ。ちょっとしたお遊びです。お許しください。」
「そうです。僕らの楽しみなんですから。賭けに勝つと、一か月分の食券が手に入るのです。」


『だからってね・・・僕は良いとしても相手の子に失礼でしょ。』
「あ、その辺は全く口外していませんので。相手の名前すら知りませんしね。たまに見かけることはありますけど。」
『ま、僕は別にいいけどね。賭けはほどほどにね。』
「「「はい。」」」


「それにしても、三席は何故誰とも付き合わないのですか?」
「青藍さんならより取り見取りでしょうに。」
『そうだねぇ。』
「ははは。否定しないんですね。」
『あはは。』


「笑って誤魔化さないでくださいよ・・・。」
「で?どうしてなんです?」
『うーん・・・。』
青藍はそう言って考える。


『・・・理想が、父上と母上だからかな。』
「え、そうなのですか?」
『うん。あの二人は好き合って結婚したし、それは今でも変わらないからね。だから僕は僕が好きになった人としか付き合わないよ。今のところ、心を動かされた人は居ないんだ。』
青藍はそう言って微笑む。


「ということは、四番隊の朝比奈さんにも心を動かされなかったのですか?」
『そうだねぇ。雪乃は雪乃だからね。美人ではっきりとした性格で、とても好ましいけれど。』
「へぇ。三席ははっきりとした女性の方が好みなんですか?」


『うん。格好いいでしょ?母上やルキア姉さま、七緒さんや乱菊さんに烈先生。皆格好いい女性だから。強くて、優しくて。』
「確かに、そんな女性陣に囲まれていたらそうなりますね。」
隊士は苦笑していった。
『あはは。そうだね。』


「三席のお相手は大変そうですねぇ。」
『そうかなぁ。ま、結婚相手は大変だろうね。僕の両親はあれだしなぁ。父上はともかく、母上には振り回されるだろうから。それは僕も同じだけど。』
「はは。そうですね。」

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