色彩
■ 7.修理代は朽木家に

「・・・散れ、千本桜。」
やっぱり斬魄刀の解放をしてしまうんですね、父上・・・。
「春乃嵐!」
あぁ、そして十五夜様はその一振りで嵐を巻き起こす扇を使ってしまう訳ですね・・・。


内心で頭を抱えつつも、その状況を理解した青藍はとりあえず彼らの周りに結界を張った。
これ以上隊舎を破壊されては、執務に影響が出るからだ。
『・・・僕、偉いなぁ。』
青藍はそう言って深いため息を吐く。


しかし、目の前の二人は全力で戦うばかりだ。
「まったく、あの方は困った人ですね。」
響鬼もその様子に呆れたように言った。
『これ、いつ終わるの・・・。』


「さて?この前は白哉様が卍解をしたので逃げるように帰りましたけど。」
響鬼はこともなげにそう言った。
『それは・・・大変だね・・・。』
今すぐにこの場から立ち去りたい・・・。
誰かこの二人を止めてくれ・・・。
青藍は切実にそう思った。
その間にも白哉と十五夜の戦いはヒートアップしていく。


「そう心配しなくても、時間になれば僕があれを回収していきますからご安心を。」
青藍のそんな心の中を見透かしたように響鬼は言った。
『あはは。お願いするよ、響鬼。』
青藍は力なく笑う。
それが出来るならば今すぐにでも回収していってほしいと思いながら。


「あれ、青藍か?」
暫くすると、そんな声と共に恋次が現れた。
『恋次さん!ご無事で何よりです。』
「いや、俺はさっきまで副隊長会議に出席していたからな。・・・しかし、またかよ。」
この惨状を見て恋次はうんざりしたように言った。


『あはは。すみません。』
その表情を見て青藍は困ったように謝る。
「お前のせいじゃねぇよ。隊長も、あの人相手だと大人げないんだよな・・・。」
『あはは。十五夜様の方がだいぶ年上ですけどね・・・。』


「・・・さて、どうやら今回も決着はつかないようですね。時間です。僕はあれを回収していきます。青藍様、結界を解いていただけますか?」
響鬼がようやく動くようだ。
『あはは。今結界を解いたら隊舎が吹き飛んでしまうよ・・・。』


「では、仕方がありませんね。・・・十五夜様!咲夜様がいらっしゃいましたよ!」
「何!?どこだ!?」
響鬼の声に反応して十五夜はあたりを見回す。
白哉はその隙を見逃さなかった。
容赦なく振るわれた千本桜が十五夜を包み込む。


「うわ!?ちょっと!?白哉!?これ、本気すぎない!?斬れてる!斬れてるよ!」
そんな声が聞こえるが白哉は構うことなく千本桜を振るい続ける。
「わぁー!!降参!降参するから!僕が悪かったから!もう許して!」
中で何が起こっているのだろうか・・・。
中の様子を想像して、青藍はぞっとする。


「二度とこのようなことをしないと誓うならば、許してやろう。」
白哉は愉快だという表情を浮かべながら言った。
「解った!解ったから!もうしないってば!だからやめて!!!」
十五夜の必死な声に白哉は漸く千本桜を鞘に納めた。
中から出てきた十五夜は服がボロボロになっている。


・・・ボロボロなのは服だけで他は無傷なのだが。
白哉の操作能力が高いのか、十五夜の回避能力が高いのか、はたまたその両方か。
「やっと終わりましたか。さて、帰りますよ。会議が控えていますからね。」
響鬼はそう言って空間を開く。
そして疲れ切った十五夜の襟首を掴んで引きずると、その空間の中に飛び込んだのだった。


『・・・終わったようですね。』
「・・・あぁ。」
『片付けましょうか・・・。』
「そうだな・・・。」
目の前の惨状に青藍と恋次は疲れたように言った。


「・・・恋次。」
白哉はそう言って恋次の方を向く。
「はい、隊長。」
「修理代は朽木家に請求しておけ。」


それだけ言って白哉くるりと背を向け隊舎へと戻っていく。
片づけを手伝う気はないらしい。
青藍は思わず苦笑する。
『・・・頑張りましょうか、恋次さん。』
「・・・あぁ。そうだな。」

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