色彩
■ 4.十番隊からの書類

家族そろっての昼餉を終え、青藍は再び仕事に戻っていた。
咲夜、白哉、ルキアもまた仕事に戻っている。
橙晴は午後の実習に参加するために霊術院に帰った。
茶羅は睦月の所で薬学について学ぶらしい。


何だかみんな忙しいのだなぁ。
青藍は書類を捌きながらそんなことを考える。
今日のように家族全員が揃うことは、珍しいことなのだ。
昔はもっと家族全員で過ごす時間があったような気もするけれど・・・。


でも、仕方がないか。
父上は隊長で、ルキア姉さまは副隊長。
母上はそこそこ暇な死神をやっているけれど、十四郎殿が体調を崩すと彼に代わって隊長業務を引き受けている。
橙晴は霊術院に行ってしまったし、茶羅は茶羅で貴族の集まりに顔を出したり、睦月に薬学を学んだりと、何かと忙しくしている。


『僕も頑張らなきゃ。』
青藍は小さくつぶやく。
少し寂しい気もするけれど、これはきっと、自分が成長したからなのだ。
自分も今は第三席。
それなりに忙しい身だ。


まぁ、貴族の集まりに行かなくていいだけましかな。
最近は茶羅が僕らの代わりに行ってくれているようだし。
青藍は貴族の集まりが嫌いなのだ。
朽木家の者らしく振舞うことも、つまらない話を聞かなければらなないことも、下心が丸見えの貴族たちと関わることも、面倒で仕方がない。


そんなことを考えて、あることに気が付く。
・・・僕はあまり父上には似ていないかもしれない。
そう思って、青藍は内心苦笑する。
そして、まあいいか、と筆を進めることに集中したのだった。


「失礼いたします。書類をお届けに参りました。」
青藍が暫く書類整理をしていると、そんな声と共に誰かが執務室に入ってきた。
『はい・・・ってなんだ、京か。』
「あ、青藍・・・じゃなかった朽木三席。」


『あはは。青藍でいいってば。書類?誰に?』
「朽木隊長だよ。」
『奥に居るよ。』
「そう。じゃあ渡してくるよ。」
『うん。いってらっしゃい。』


数分後。
「失礼いたしました。」
京がそう言って隊主室から出てきた。
『京、どうだった?』
「いや、普通だったと思うけど。でも、持っていった書類は無言で捨てられた。」


『え?何の書類だったの?』
「あはは。松本副隊長からの書類でね、朽木隊長の写真集、というか、朽木家の写真集を出版したいっていう内容だったんだ。」
京は苦笑しつつ言った。
『なるほどね。それはお疲れ様。というか、ご愁傷様?』


「まぁ、もともと受け取ってくれるとは思っていないけど。副隊長が行けって言うから来たんだ。」
『あはは。大変そうだね。』
「青藍ほどじゃないよ。」
京は青藍の机の上にある書類の量を見て言った。


『そんなことないよ。父上に比べたらこんなの少なすぎるくらいなんだから。』
「相変わらず、朽木隊長が目標なんだね。」
『うん。だから頑張らないとね。』
「そっか。僕も頑張ろ。じゃあ、もう行くね。」


『うん。もう少し落ち着いたら、皆と会いたいね。』
「そうだね。侑李も会いたいって言ってたよ。僕ら隣の隊だから結構会うんだ。時間が空いたら連絡してよ。僕らの方が時間の融通は利くからさ。」
『うん。ありがとう。またね。』
「では、失礼しました。」


そんな会話をした半刻ほど後。
「青藍!!」
そういって六番隊の執務室に入ってきた人が居る。
『あ、乱菊さん。お疲れ様です。』
「ちょっと青藍!お疲れさまじゃないわよ!あたしの傑作を朽木隊長が見ることもなく捨てたって話じゃない!」
乱菊は青藍の肩を掴んでぐらぐら揺すりながら言った。


『乱菊さん、落ち着いてください。』
「これが落ち着けるかってのよ。せっかくのあたしのプランが台無しになったのよ!仕事よりも優先して書き上げたのに!」
『・・・仕事しましょうよ、乱菊さん。』
これには青藍も苦笑いである。

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