色彩
■ 3.三席の仕事

新人研修も終わり、青藍の三席としての仕事が本格的に始まって、一週間ほど経った頃。
「朽木三席、確認お願いします。」
「三席、こちら報告書になります。」
「青藍、これ、十番隊からの書類だ。」
といった具合に、青藍を呼ぶ声が絶えない。


霊術院時代、というより、生まれた頃から護廷隊に出入りしていた青藍を知るものは青藍の実力も知っているため、彼を上司として認めている。
同期たちもまた、青藍の実力を術院時代から目の当たりにしているので青藍に普通に従った。
三席としてのスタートは上々という所だろうか。


『あ、母上、休憩ですか?』
そして、六番隊の隊士が青藍に感謝していることがある。
「あぁ、白哉はまた休まずに書類とにらめっこか?」
『えぇ。申し訳ないのですが、少しここで待っていてもらえませんか?父上に急ぎの書類があるもので。それを父上に確認して頂いたら、休憩に入ってくださって結構です。』
「はいはい。」


こうして咲夜が突然現れても、青藍が上手く足止めをして仕事に支障が無いように調節してくれることだ。
それまでは咲夜が現れると白哉は休憩に入ってしまい、二人の時間を邪魔することが出来ず、恋次などは急ぎの書類を届けるために毎回苦悩していたのだ。


それから、二人が休憩している時に突然急ぎの書類が回ってきたときにも、青藍が持っていく。
お蔭で恋次や上位席官たちは白哉の容赦ない睨みを見ることなく平和に過ごすことが出来ているのだ。


「ふふん。慣れてきたようだな。」
青藍の元で書類を待っている咲夜が言った。
『えぇ。皆さん良くしてくれますし。』
青藍は筆を進めつつ答える。
「そうか。困ったことはないか?」


『そうですねぇ。特にありませんけど。あ、でもルキア姉さまに会いたいです。最近は邸にも帰ってこられませんし・・・。新年度が始まったばかりなので仕方ないのでしょうけど。』
「はは。相変わらずだな。それじゃあ今日の昼は皆で食べようじゃないか。ルキアも呼んで。」


『本当ですか?』
咲夜の言葉に青藍は目を輝かせる。
「あぁ。今日は浮竹も元気だからな。その位の余裕はあるだろう。」
『では、楽しみにしています。・・・さて、これで終わりですね。父上にこれを確認してもらったら休憩に入っていただけます。』
青藍はそう言ってにこりと微笑む。


「ふふ。」
そんな青藍を見て咲夜は笑った。
『なんです?』
「いや、なんでもない。青藍、本当に欲しいものが見つかった時には、迷わず手を伸ばすのだぞ。」


『?』
その言葉に青藍は首を傾げる。
「今は解らなくてもいい。とりあえず頷いておけ。」
『はい。解りました。』


そして昼時。
昼の鐘が鳴ってからすぐに青藍の元にルキアがやってきた。
「青藍!」
『ルキア姉さま!お早いですね。』
「浮竹隊長が早めに終わらせてくださったのだ。咲夜姉さまは兄様の所か?」


『えぇ。先ほど大きな重箱を持ってこちらに来られました。橙晴と茶羅も連れて。橙晴は学院の授業が詰まらないようで、抜け出してきたと。』
「そうか。・・・それで?青藍。私に会いたかったそうだな。」
ルキアは青藍をからかうように言った。


『母上ですね・・・。家族なのですから会いたいと思うのは当然じゃないですか・・・。』
青藍は恨めしそうに言った。
「ふふん。青藍は可愛いなぁ。」
ルキアはそう言って座ったままの青藍を撫でる。


『姉さま、僕は子供じゃありません。』
青藍はそう言って膨れた。
「そうか?」
『そうですよ。もう、姉さまを守ることが出来るくらいには強くなりました。』
「ふふ。そうだな。心強いぞ、青藍。」
そう言いつつもルキアは青藍を撫で続ける。


『・・・本当にそう思っていますか?』
「思っているぞ!そんな可愛い青藍が私は大好きだ。」
ルキアはそう言って微笑む。
『もう可愛いと言われて嬉しい年じゃありません。』


「いいではないか。さぁ、皆が待っているぞ。早く行こうではないか。」
ルキアはそう言って青藍の手を引き、立ち上がらせる。
『姉さまは何時までも僕を子ども扱いだ・・・。』
そう拗ねたように言った青藍を笑いながらルキアは彼の手を引いて白哉たちの元へ向かったのだった。

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