色彩
■ 31.卒業

そんなこんなで霊術院に入学してから六年が経った。
そして今日、青藍たちは無事に霊術院を卒業したのだ。
うんざりするほど周りに人が集まった青藍だったが、それらをすべて受け流し、侑李、京、キリト、雪乃以外の者たちとはほとんど関わることなく院生生活を終えた。


時折死神たちが乱入してくるので、その対応に追われていたためでもあるのだが。
青藍は最後まで次席であり、主席のキリトに手を抜いていると文句を言われていた。
そして、彼らは卒業と同時に護廷隊への入隊が決まっている。


『いやぁ、大変な六年間だったね。』
卒業式を終えた帰り道。
歩きながら青藍が言った。
「主に俺たちがな。」
「そうだね。」
「あはは。でも楽しかったよね。」


『うん。皆、僕の我が儘に付き合ってくれてありがとう。』
青藍はそう言って微笑む。
「今さら何を言っているのよ。」
『ふふ。特に雪乃は大変だっただろうね。嫌がらせとか、されていたもの。』


「あら、何のことかしら。」
青藍の言葉に、雪乃は知らんぷりをする。
「雪乃が大人しくやられるタイプじゃないことぐらい、お前も解ってんだろ・・・。」
その様子に侑李が呆れたように言った。
『まぁ、呼び出されても相手を負かして帰ってきていたものね・・・。』


「そんなことないわよ?私はあの子たちとお話をしただけです。」
「あれは脅しっていうんだよ。」
京がポツリと言った。
「何ですって?」
「睨まないでよ。」


「それに、せっかく俺たちが何かあったら出ていこうと待機してんのに、雪乃ひとりで解決しちゃうし。」
「雪乃ってば格好いいよね!」
キリトは顔を輝かせていった。
『そうだね!僕らの出番何て一度もなかったもの。』
「青藍に出てこられたら話がややこしくなるだけだわ。」
『酷いなぁ。』


「それで?みんな何番隊の配属なのかしら?」
「僕は十番隊。」
「俺は九番隊。」
「僕は十三番隊だよ。」


「そう。私は四番隊。青藍は勿論六番隊でしょ?」
『うん。春からは六番隊第三席です。』
「まじか!」
「流石青藍。というか、まぁ、妥当だよね。」
「すごいね!朽木三席になるの!?」


『あはは。別にいつも通り呼んでくれていいよ。』
「ふふ。相変わらずなのね。」
「それが青藍だけどな。」
「そうだね。」
「護廷隊に入ってもよろしくね!」


『うん。みんなもよろしく。京、十番隊は乱菊さんが居るから大変だろうけど、冬獅郎さんのために頑張ってね。』
「うん。頑張るよ。」
『侑李は九番隊か。修兵さんはちょっと阿呆だけど、いいお兄さんって感じだから安心してね。』
「はは。なんか俺、苦労しそうだな。」


『キリトの十三番隊は姉さまも十四郎殿も優しいよ。それに母上もいる。母上は自由な人だから大変かもしれないけど。』
青藍はそう言って苦笑する。
「うん。青藍の大好きな人たちだから、僕もその人たちのために頑張るよ!」


『ふふ。ありがとう。四番隊は・・・雪乃の方が良く解っているね。』
「当然よ。どれほど行っていたと思っているの。毎日のように行っていたのよ。それに、実は私も席官なの。十五席だけど。」
『そうなの?凄いね!』


「青藍ほどじゃないわ。」
『でも、四番隊って後方支援が多いから、中々席官に空きが出ないんだよ。席官入りの順番待ちが一番多い隊なのに、その中から席官になるなんて凄いよ。』
「ふふ。ありがとう。私も頑張るわ。」


「それにしても、お前らずるいよなぁ。座学サボって護廷隊に居るだなんて。」
侑李が面白くなさそうに言った。
「そうそう。そりゃあ、どれだけ探しても見つからないわけだよ。」
京もまた、呆れたように言った。


「僕、頑張って探したのに・・・。」
キリトはそう言って膨れる。
『あはは。』
「「「笑って誤魔化さない!」」」


「ふふふ。いいじゃないの。貴方たちだって、私たちを探すふりをしてサボっていたのでしょう?」
「何故それを・・・。」
「何で知っているの。」
侑李と京は目を丸くした。


「偶然見かけたのよ。三人仲良く堂々とお昼寝なんて、あれでよく見つからないものだわ。」
「サボったのはちょっとだけだよ?」
キリトは悪戯っぽく笑った。
『三人もなんだかんだで楽しんでいたんじゃないの。』


「ははは。まぁな。」
「青藍たちを探すという役目があったから先生たちもあまり文句を言わなかったし。」
「確かに。草薙先生とか、青藍が学院の外に居るの知っていたのに探しに行かせてくれたしね。」
『ふふ。睦月だからね。』


「さて、じゃあ、俺たちはこの辺で帰るよ。」
「そうだね。僕らは一度、育ったところを見てこようと思う。まだ、家があるかはわからないけど。一緒に居たチビたちがどうしているかも知りたいし。」
『そっか。』


「僕も。お墓参りに行って、お母さんに報告に行かなくちゃ。」
『うん。僕のことも紹介してね。』
「もちろん!」
「私も琥珀庵に用があるから、皆と行くわ。」
『うん。燿さんたちによろしく伝えておいて。』
「解ったわ。」


『皆、春から頑張ろうね!これからもよろしく!』
「当たり前だろ!」
「よろしく。」
「青藍、会いに来てね。僕も会いに行くから。」


「みなさん、怪我をしたらちゃんと四番隊で治療を受けること。いいわね?」
『「「「はーい。」」」』
『ふふ。じゃあ、またね!』
五人はそう言って別れたのだった。



2016.07.06 始解編 完
〜入隊編に続く〜
青藍の霊術院での生活。
霊術院に行き、友人を得て、両親や身の回りに居る死神たちの偉大さを再確認した青藍でした。
まだまだ精神的な弱さが目立つ青藍ですが、多くの人たちに見守られて、今後も成長していきます。

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