色彩
■ 騒がしい日々@後編

『ふぅ。全く母上がこんなになるまで飲ませるなんて・・・。』
青藍は抱えられた咲夜の真っ赤な顔を見て、呆れたように言った。
『父上、母上は邸に運んだ方が良さそうですね。睦月に連絡しておきますから、母上を連れて帰ってください。』
「あぁ。その馬鹿どもに二度とこのようなことをせぬようにきつく言っておけ。」
白哉は冷ややかな視線を向けながらそう言い捨てる。


『はい。いくら母上がお酒に強いからと言って、これほど飲ませてはお体に障りますからね。しっかりと言い含めておきます。』
青藍はそう言って微笑む。
その微笑に京楽と十五夜からは小さな悲鳴が上がる。
「では、後は頼んだ。」
『はい。お任せください。』
青藍の言葉を聞いて白哉は姿を消した。


「浮竹隊長!ご無事ですか!?」
白哉が去ったのを見てか、ルキアが浮竹に駆け寄る。
「あぁ・・・。何とかな・・・。」
浮竹はそう言ってよろよろと立ちあがる。


『十四郎殿、ご迷惑をお掛けしました。ルキア姉さま、十四郎殿を雨乾堂へ。すぐに休ませた方がいい。発作が起こる前に。』
「隊長、歩けますか?雨乾堂ですぐにお休みになってください。」
「あぁ。悪いな、朽木。」
浮竹はルキアに支えられながら、よろよろと歩いていく。


『さて、後はお二人ですね。』
それを見送った青藍は清々しい笑顔で京楽と十五夜を見る。
そんな青藍に二人は小さく震えた。
『なぜ、あんなことを?』


「・・・酔った咲夜はいつもと違うという話を聞いたからだ。」
十五夜は拗ねたように言う。
「僕は咲ちゃんとお酒が飲みたいなぁなんて・・・。」
京楽はヘラりと笑いながら言った。


『へぇ?そんな理由で母上にあれ程の酒を呑ませたのですね?仕事中にも関わらず。母上の体に負担がかかるとは思わなかったのですか?いくら母上でも内臓の機能までそれほど強い訳ではないのですよ?』
青藍はなおも微笑みながら言う。


「だって、あんな咲夜を白哉の小僧が独り占めしているなんてずるい!」
「そうだ!そうだ!」
駄々をこねるようにいう十五夜に京楽が賛同する。
「僕の咲夜なのに・・・。」
「僕らの咲ちゃんだったのに・・・。」
二人は拗ねたように言う。


『何を言っているのですか。母上は父上のものですよ?』
「何故あのような生意気な小僧に咲夜をやらねばならんのだ・・・。」
『母上が父上と結ばれなければ、僕はここにはいません。それでもいいというのですか?』
「それは・・・嫌だ。」


『そうですか。それは良かった。では、今後このようなことは一切しないでいただけますね?父上や母上だけでなく、ルキア姉さまにまで迷惑をかけるなんて僕は許しませんよ?次にこのようなことがあれば、この程度では済ませませんからね。覚悟しておいてください。お二人とも、理解できましたか?』
そう黒い笑みで言った青藍に二人は大人しく頷くしかなかったのだった。



2016.07.08
お怒りの白哉さんを止める青藍。
京楽さんと十五夜は懲りずに何度も同じ目に遭っているのだと思われます。


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