色彩
■ 騒がしい日々@前編

「青藍!」
珍しく座学の授業に出席していた青藍の耳に、聞き慣れた声が響いた。
退屈な授業にうとうととしていた青藍だったが、突然教室のドアが開かれ、そう呼ばれたことで目を覚ます。
その姿を認めて、教室にざわめきが起こった。


『ルキア姉さま・・・?』
「授業中申し訳ない。青藍をお借りする。」
ルキアはそう言って青藍の腕をとる。
『どうしたのです?』


「・・・このままでは十三番隊舎が瓦礫の山と化してしまうのだ。兄様を、止めてくれ。」
目を白黒させた青藍にルキアは困ったように言った。
『あぁ、なるほど。解りました。すぐに行きましょう。まったく、困った人たちですねぇ。』
「ははは。・・・では、お騒がせした。私たちはこれで失礼する。」


『あぁ、これはまた派手にやっていますねぇ。』
ルキアと共に十三番隊舎に駆け付けた青藍はその光景に苦笑する。
そこに居るのは白哉、咲夜、浮竹に京楽、そして、十五夜。
白哉は咲夜を片手で抱きしめ、もう一方の手で鬼道を放ち続けている。
もちろん狙われているのは、浮竹、京楽、十五夜の三人だ。


『今日は何をしたのですか?』
青藍は呆れたような声を出した。
「京楽隊長と十五夜様が組んで咲夜姉さまを酔い潰したのだ。そうしたら酔った姉さまが浮竹隊長に抱き着いてな・・・。その時丁度兄様がいらっしゃったのだ。そして今に至る。」


『あはは。それは災難ですねぇ。十四郎殿は何時も大変だなぁ。』
青藍はそう言って笑う。
「笑い事ではないぞ・・・。私では止められぬのだ。」
そんな青藍にルキアは遠い目をする。
『ふふ。大丈夫ですよ。僕が止めますから。ルキア姉さまはここに居てくださいね。』
青藍はそう言い残して、争いの渦中に飛び込んだのだった。


『・・・縛道の八十一、断空!』
青藍はそう言って両者の中間に壁をつくる。
「青藍!」
青藍の姿を認めて、十五夜は目を輝かせる。


「頼む。白哉を止めてくれ・・・。」
反対に浮竹は死にそうな目で青藍に懇願した。
どうやら今日はあまり調子が良くないらしい。
『話は聞きました。自業自得・・・と言いたいところですが。ルキア姉さまの頼みですからね。何とかしてみますよ。十四郎殿が死にそうですしね。』


「はは。よろしく頼むよ・・・。」
青藍の言葉に浮竹は力なく笑う。
『まぁ、主犯のお二人には多少痛い目を見て頂きましょう。・・・縛道の六十一、六杖光牢!』
「ちょ!?青藍!?」
青藍が放った鬼道は見事に京楽を捕えた。


『そこで大人しくしていてください。じゃないと、千本桜の餌食になりますよ。』
断空によって鬼道が効かなくなると見るや、白哉は千本桜を取り出した。
『十五夜様も大人しくしていてくださいね?間違えて僕の斬魄刀の餌食になるかもしれませんから。』
青藍はそう言って微笑む。


「う、うん。解ったよ・・・。」
その微笑の裏にある微かな怒りを感じ取ったのか、十五夜は大人しく頷いた。
『火、天に集いて、水、地に集い、雷、天地を結びて裁きを下す・・・鳴神!』
「散れ・・・千本桜。」
二人はほぼ同時に始解する。


『一の裁き、春雷!』
迫りくる千本桜の刃に、雷が落とされた。
距離が近いためか、京楽と十五夜が感電する。
それは青藍の狙い通りなのだが。
ちなみに浮竹は青藍が結界を張ったので無事である。


『父上。落ち着いてください。この二人には僕から言い含めておきますので。ごらんのとおり、僕の斬撃を受けて身動きもとれないようですし。』
青藍に言われて白哉は二人を睨みつける。
「「ごめんなさい。もうしません!」」
二人はその視線に震えあがって謝罪を口にする。
それを見た白哉は、一つ大きなため息を吐くと、千本桜を鞘に納めた。



2016.07.08
後篇に続きます


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