蒼の瞳、紅の瞳
■ 14.力試し

『さて、喜助。地下を少し借りるぞ。』
一心をぼこぼこにした後、井上と茶渡、リルカの様子を確認した咲夜は言った。
「はい?何するんスか?」
『久しぶりに体を動かそうと思ってな。黒崎、相手を頼む。久しぶりの死神なんだ。もう少し慣れておきたいだろう?』
「本当すか?じゃあよろしくお願いします。」


「黒崎サン、気を付けてくださいね。咲夜サンは強いッスよ。」
「望むところだ。」
『ふふふ。大丈夫だよ。手加減するさ。』
「・・・絶対勝ってやる!!」
『おや?君も負けず嫌いだな。ふふん。楽しみだ。行くぞ。』


『用意はいいかい?』
「あぁ。」
『君から攻撃をしていいぞ?とりあえず白打から始めよう。瞬歩も使っていいぞ。』
「じゃ、遠慮なく。いくぜ。」
その言葉と同時に一護は地面を蹴った。
おや、なかなか速いな。
だがもっと速くなるはずだ。
一護の拳が繰り出される。


『おっと。君、何かやっていたのか?』
咲夜はそれを受け止めながら一護に質問する。
「空手をやってた。それなりに強かったんだぜ。」
一護もまた動きを止めることなく答えた。
『へぇ。型がきれいだ。それにスピードも打撃の強さも申し分ない。』
今度は咲夜が一護に拳を繰り出す。


「うぉ?あんた強いんだな。動きが軽いのに打撃が重い。」
『ははは。その割には余裕で受け止めているじゃないか。』
「まぁな。あんた相手ならもう少し思い切りやってもよさそうだ。」
その言葉とともに蹴りが入るが、咲夜は片手でそれを受け止めた。


『ふぅん?力もスピードも上がったな。だが、まだ甘い。』
咲夜はそういうと、受け止めた一護の足を軸にして飛び上がり、踵を落とした。
「うわ、なんだそれ。」
一護は驚きつつもそれを受け止める。
『あら。君は丈夫な奴だねぇ。大概の人は受け止めきれずに骨を折るんだけれど。』
「確かに腕だけで受け止めようとしたら骨が折れるだろうが、力を受け流せば問題ない。」


なるほど。
戦いのセンスも高いようだ。
『いいね。それは誰かに教わったのかい?』
続けて攻撃しながら咲夜は一護に質問する。


「いや。俺、小さい頃は弱くて、力技では勝てなかった。だから自然に身に着いたんだと思う。」
『それだけじゃないだろう?』
「後は死神代行になってから戦いの中でそれが一番無駄がないと気付いたんだ。剣八みたいな馬鹿力と戦う時は正面から受け止めたら斬魄刀が折れる。」


『なるほどね。そういえば剣八に勝ったことがあるんだったな。っと。危ない危ない。君、まだスピードが上がるのか。』
「まぁな。卍解をすればもっと速くなる。」
『まったく恐ろしい子だよ。じゃあ私も真面目にやるとするか。』



数刻後、卍解した一護はボロボロになっていたが、咲夜には死覇装の乱れすら見られない。
「・・・はっ、はっ、はぁ。はぁ。くそ。」
『なんだい?息が上がっているぞ。まだやる気かい?』
咲夜は一護の様子にニヤニヤしながらそう言った。
「っまだまだぁ!!」


『おや、意外と元気だね。いいだろう。』
「くそ。馬鹿にしてんだろ?」
『いいや?感心しているよ。私の動きにここまでついてくるなんて大したものだ。千本桜が卍解した君を追いきれなかったというのは本当のようだね。さて、そろそろ終わりにしようか。』


咲夜がそういうと、刹那、その姿が一護の目の前から消えた。
そして背後から打撃が加えられる。
「え?」
一護はそれに反応することが出来ず、吹き飛ばされるとともに意識を失ったのだった。
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