蒼の瞳、紅の瞳
■ 12.線引きは無意味

「今さら関わるなと言われても困りますよ。俺は虚も死神も見えてしまった。死神たちとも関わってしまった。ルキアも恋次も、白哉だって、もう俺の仲間だ。・・・力を失ってからも俺はそれを忘れたことなんてなかった。それに、本当に関わらせる気がないなら俺に霊力を取り戻させようなんて思わないだろうし。」


『うん。私はね、もうこれは必然なんだと思うよ。今、この時代に君が生まれて、私たち死神と関わりあっている。これまでのように死神と関わってしまった人間の記憶を消すこともせず、君たちを受け入れつつある。そして、それは君がそうしたんだ。君が尸魂界に変化をもたらした。』
だから、私がいくら線引きをしても、彼は尸魂界と関わっていくだろう。


「俺が?」
『ふふふ。自覚がないようだね。まぁ、君がもたらした変化は悪いものじゃない。礼をいうよ。白哉もルキアも君と出会って柔らかくなったというか素直になったというか。』
「そうすか?白哉はそんなに変わったかなぁ。確かにルキアに対して甘くなったのはわかりますけど。」


『兄は黒崎一護の敵だ。兄が誰の恩人であろうと、殺すに些少のためらいもない。』
「え?」
『白哉がさっきそう言っていたらしい。白哉ったら本当に素直じゃないんだから。本人の前では絶対に言わない言葉だよね。』
「らしいって、誰に聞いたんすか?」


『千本桜だ。』
「?」
一護は咲夜の言葉に首を傾げる。
『あぁ、私の能力なんだ。』


「・・・。」
ん?何故なんの反応もないんだ?
『あれ?信じてない?』
「いや、なんつーか・・・。びっくりしたというか。あんたの能力にも、白哉の言葉にも。」


『ははは。白哉は傲慢で不器用で言葉が少ないからね。その上あの仏頂面だ。』
「あの人笑ったことあるんですかね?」
『昔は笑っていたさ。可愛かったんだぞ?我が儘で生意気で、多少気が短いのは今も昔も同じだが。今だって、全く笑わないわけではないさ。微笑むくらいはするよ。』


「うわー。想像出来ねぇ。」
『この間、それでルキアを泣かせていた。』
「なんでだ?」
『まったく白哉の奴、ルキアを引き取ってから数十年、ルキアに微笑んだことがなかったんだそうだ。それで、この前初めてルキアに向かってほほ笑んだらしくてな。よほど嬉しかったんだろうな。ルキアは泣いてしまったんだ。可愛かったなぁ。』
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