蒼の瞳、紅の瞳
■ 11.決着

「さて、ルキア、俺たちは銀城の遺体を回収するぞ。」
「あぁ。そうだな。」
二人はそういうと、銀城のもとにかけて行った。
『やぁ、黒崎一護。こうして顔を合わせるのは初めてだな。私は漣咲夜だ。』
二人を見ながら、咲夜は一護に話しかけた。


「あぁ、初めまして。黒崎一護っす。」
『ふふふ。君は強いな。』
咲夜は一護の顔を見た。
本当に、海燕に似ている。
容姿だけでなく纏う雰囲気までも。


「へ?」
『いや、力が戻ったようで何よりだ。それで、君はこれからどうするんだ?代行証のことも知ってしまったのだろう?』


「それは、もういいんだ。俺は、ずっと力が欲しかった。力を無くしてからも俺は、いつか力が戻るんじゃないかって、その希望を捨てきれなかったんだ。無力なことが苦しかったから。でも、ルキアや恋次、他の死神たちが俺に力を取り戻させてくれた。」
自らの手を眺めながら彼はそう言った。


『そうか。白哉や山じいが心を動かされるわけだなぁ。』
「・・・?咲夜さんは白哉と仲がいいんすか?さっきも手を握って治療をしていたようですけど。」


『ん?君、闘いながらそんなところまで見ていたのか。さすがだな。白哉は私の従弟だよ。それで、私の可愛い弟子だ。こう見えて私は浮竹や京楽と同期なんだ。生まれたのは彼らの方が先だが。』


「えぇ!?若すぎですよ。詐欺じゃないすか。それに白哉の師って何者なんすか?」
『うん?元十番隊副隊長。まぁ、百年前に姿を消して最近まで追われる身だったのだけれど。』


「百年前?じゃあ平子たちみたいに藍染のせいで?」
『いや。それは関係ないが、簡単に言うと家の事情という奴かな。で、最近それが片付いたから死神に復帰したんだ。まぁ、君のおかげでもあるかな。君がルキアを助けるために尸魂界に来てくれたから、私は当時の四十六室とおさらば出来たわけだし。』


「四十六室って、尸魂界の司法機関ですよね?確か藍染が全滅させたとか。」
『うん。いやぁ、彼らが私を欲しがっていてね。正確には私の能力を、だけれど。』
「へぇ。尸魂界もいろいろあるんすね。俺、死神になってから色々巻き込まれてますけど。」
一護はそう言って苦笑いだ。


『あはは。すまないね。死神は人間よりも長く生きるが、本質はそんなに人間と変わらないものだから。権力争いから色恋沙汰まで人間と同じように色々なことが起こる。ただ、人間と死神では寿命が違いすぎる。だから、本来は死神と人間は関わらない方がいいんだろうさ。』


己の言葉に苦笑する。
これでは、彼との線引きだ。
彼と私が関わることは、たぶん、あまり好ましくない。
私たち二人は、あまりにも、世界に近すぎるのだ。
しかし、彼はそれを気にすることなく答えを返してくる。
そんな彼が眩しい。
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