蒼の瞳、紅の瞳
■ 8.時が満ちる

「「千本桜が来たー!!」」
そう言いながら黒刃と白刃が駈けてきた。
『千本桜?白哉じゃなくて?』
「違うよー。」
「千本桜だよー。」
「「ほら!!」」
二人が言うと、甲冑を着た青年が現れる。


『本当だ。どうしたんだい?』
「この二人に呼ばれてな。」
「僕たちが呼んだの!」
「咲夜に用があるんだって!」
『お前たちそんなこともできるのか。それで?』


「いや、用があるのは主だ。」
『どういうことだ?』
「・・・ここに居たか。」
咲夜が首をかしげていると、白哉が現れた。
「やぁ、白哉じゃないか。ここに来るなんて珍しいな。」
「咲夜姉さまを探していたのだ。浮竹も居るのか。ちょうど良い。」
『なんだい?』


「総隊長が黒崎一護に力を取り戻させる時が来た、と。」
白哉の言葉に浮竹は真剣な顔つきになる。
「そうか。それで?」
「私と恋次、更木、斑目、日番谷隊長、それとルキアが現世に派遣されることになった。」
『それでなんで私?』


「黒崎一護に力を渡すときに使う刀を安定させておく必要があるのだ。隊長格全員の霊圧を込めたものだ。暴走することがあっては現世に影響を与えるやもしれぬ。巫女の力で安定させておけと総隊長がいっていた。」
『なるほどねぇ。よし。じゃあ行くか。』
ふと浮竹を見ると何やら暗い顔をしている。


『浮竹?どうしたんだ?』
「いや・・・一護君はどうするだろうか。俺は、彼を騙すようなことを・・・。」
あぁ、代行証のことか。


『そう心配するな。彼はきっとそんなことは気にしないよ。文句を言うようだったら私が躾なおしてやる。それに・・・気付いているんだろう?彼は黒崎一心、いや志波一心の息子だ。志波家の血を引くものがそんなことを理由にして私たちに刃を向けるとも思えない。』


「そうだ。黒崎一護はそのような男ではない。あの男は我らの恩人。総隊長の心までをも動かした。あの、変わらぬ心で。」
「・・・そうだな。俺はここで待っているよ。」
『あぁ。行ってくる。黒刃と白刃を頼む。』


咲夜がそういうと、白哉とともに瞬歩で移動する。
「・・・あの子供たちはなんなのだ?」
『あぁ、私の斬魄刀だ。かくかくしかじかでな・・・。』
咲夜が黒刃と白刃について説明すると、白哉は納得したようだった。


「なるほど。それ故千本桜が具象化して兄のもとに行ったのか。」
『あぁ。四十六室には秘密にしておいてくれよ。もう追われるのはごめんだ。刑軍にも朽木の忍にもな。』
「追われたところで兄の相手になりはせぬだろうに。・・・お前に差し向けた忍は一人残らず気絶させられて門の前に突き返されていた。」


『いやぁ、刑軍よりも優秀で困ったよ。あれは大変だったなぁ。』
咲夜は当時のことを思い出した。
「嘘をつくな。あれらは手も足も出なかったと言っていた。」


『確かに戦えば私の方が強かったが、居場所がバレると移動しなくちゃならないだろう。まったく、どこに行っても見つかるんだもんなぁ。霊圧だって消しているのに。朽木家の情報網は恐ろしいよ。』
「当然であろう。朽木家の情報網の中でも指折りの者たちを向かわせていたのだからな。」
そんな会話をしていると、集合場所が見えてきたのだった。
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