蒼の瞳、紅の瞳
■ 5.双子

さて、どうするか。
とりあえず、浮竹のところに行って事情を説明する必要がありそうだ。
『黒刃、白刃ついておいで。』
「「うん。」」
『君たちは瞬歩とか使えるのかい?』
「使えるよ。」
「咲夜ができることは何でもできるよ。」


「鬼道もできるよ。」
「剣も使えるよ。」
「舞も舞えるよ。」
「いろんな声も聞こえるよ。」
『そうなのか。じゃあ書類整理とかもできるんだな?』
「「できるよ。」」


ふむ。
なかなか使えそうだ。
『私から離れていてもそのままでいられるのかい?』
「遠くに居ても大丈夫だよ。」
「遠くに居てもすぐに咲夜のところに行けるよ。」
「「ねー。」」


『浮竹、居るか?』
そう言って雨乾堂に来た咲夜を見た浮竹はしばしの間硬直した。
「・・・漣、俺には子供が二人見えるんだが。」
『あはは。うん。私にも見えるぞ。心配するな。』
「攫ってきたのか?」
浮竹は咲夜に疑うような視線を向ける。


『そんなわけないだろう。君の中で私は一体どんな人間なんだ。』
「じゃあ、その二人はなんだ?」
『私の斬魄刀だ。』
「は?」
『ほら、浮竹に挨拶しなさい。』


「僕は黒刃。」
「僕は白刃。」
「「よろしく。」」
「あ、あぁ俺は浮竹十四郎だ。よろしくな。」
二人に気圧されたように浮竹は挨拶を返す。


「「じゅーしろー!!」」
『よし。ちょっと二人で遊んできなさい。私は浮竹と話がある。』
「「はーい。」」
咲夜がそういうと、二人は外に駈け出して行った。


「元気な子たちだなぁ。ってちがう!!お前の斬魄刀は森羅じゃなかったか?そしてこの間隊長格を多数動員して壊れたはずだろう?」
浮竹は訳が分からないといった顔で咲夜を見る。
『そうだな。その破片を浮竹と京楽が集めてくれただろう。それをマユリさんに持って行ったんだが・・・。』
「そんなことをしていたのか。」


『あぁ。それで、霊圧を与えてみたら、種になって、芽が生えてな。で、さっきそれに刀を刺したら二人が現れて私の斬魄刀だというんだ。』
「はぁ。」
うん。まぁ、突然そういわれても解らないよな。
私でさえ自分の目で見たものを信じられないような気分なのだから。


『あの子らに話をきくと、どうやら森羅が二つに分かれたものらしい。森羅の原始の状態が二つに分けられたのだ。力が大きすぎて主に手放されないように、森羅と父上がそうしたらしい。』
「なんだかよくわからないが、とりあえずあれはもともと森羅だということでいいか?」


『それでいい。で、森羅は霊圧を喰って大きくなっていく。それで制御できなくなった。だからああして具象化させておくことで、霊圧を放出させて力のバランスをとっているんだ。』
「なるほど。」
『だから、あの子らを十三番隊に置いておきたいんだが。』
「それは、構わんが。」


『本当か?それは助かる。もちろん普通の隊士として扱っていいぞ。聞けば、私ができることは何でもできるそうだ。』
「・・・それは、普通の隊士とはいえんだろう。」
『まぁ、そこは気にするな。』
「気にするだろう。普通。」
呆れたように言われて、思わず笑った。
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