蒼の瞳、紅の瞳
■ 4.二人からの贈り物

突き刺さると同時に光があふれ、大きな霊圧が咲夜を包み込んだ。
ただ白いだけだった刀が力を吸収していくにつれて、刃が現れ、柄や鍔にも色がついてゆく。
ふと、咲夜は何かに呼ばれているような気がした。
『・・・来い!!私はここに居る!!』
咲夜がそう叫ぶと、光が弾けた。


思わず閉じた瞼を開けると、そこには漆黒の少年と純白の少年が居た。
どちらも紅い瞳をしている。
森羅と同じ色だ。
「ふむ。成功したようだネ。」
『・・・え?なんか出てきた。』
「「なんかとは何だ?僕らはあなたの斬魄刀。」」
『そうなの?森羅は女の姿で一人だったけど?』


「僕は黒刃(くろは)。」
漆黒の少年が答える。
「僕は白刃(しろは)。」
純白の少年が答える。
「森羅はもう居ない。」
「主が消した。」

「僕らは考えた。」
「森羅も考えた。」
「大きくなり過ぎないためにはどうすればいいか。」
「主とともにあるためにはどうすればいいか。」
「分ければいい。」
「そう。分ければいい。」
「だから二つに分けた。」

「僕は黒刃。死を司るもの。」
「僕は白刃。生を司るもの。」
「分けたら森羅は消えてしまった。」
「主とともに消えてしまった。」

『ちょっと待って。君たちもう少し解りやすく話そうな?』
「「?」」
咲夜の言葉に二人そろって首をかしげる。
『可愛いな。じゃなくて、えーと、まず君たちは森羅が二つに分かれたものなのか?』
「「そうだ。」」


『では、もともと森羅は生死を司るものだったのか?』
「「そうだ。」」
『霊力を喰うものではないのか?何故力を吸収するのだ?』
「死は蓄積する。」
「生は成長する。」
「「だから大きくなっていく。」」


『なるほど。森羅は主とともに消えたというのは?』
「「森羅の主は漣鏡夜。」」
「森羅は主とともに消えた。」
「あの時森羅と融合していたのは彼だった。」
「森羅はそれで目が覚めた。」
「それから自分を二つに分けた。」
「「そして二人で消えてしまった。」」


「森羅は咲夜が好きだった。」
「鏡夜も咲夜が好きだった。」
「僕も咲夜が好き。」
「僕も咲夜が好き。」
「「だから僕らはやってきた。咲夜が呼んだから出てきた。僕らの声聞こえた?」」


『・・・うん。聞こえた。私も皆が好きだ。』
「「本当?」」
『うん。来てくれてありがとう。』
「よかったね。」
「よかったね。」
「でも咲夜は泣いているよ。」
「笑っていないね。」
「「どうして?」」


咲夜は泣いていた。
この斬魄刀たちは父上と森羅が私に使わしてくれたものだったのだ。
『嬉しくても涙は出るものなんだよ。』
「「嬉しいのに、泣くの?変だねぇ?」」
そう言って二人は顔を合わせる。


「・・・ふむ。興味深いネ。奥が深い斬魄刀だ。自らを二つに分けるなど。」
『マユリさん。』
存在を忘れかけていた。
「見たところ制御も問題ないようだ。その二人を常に具象化しておけば暴走することもないだろう。卍解をする必要もないヨ。」


『本当ですか?それはよかった。』
「それよりも私は子供が嫌いだ。その二人を連れてさっさと出て行きたまえ。用は済んだ。」
『あぁ、すみません。お邪魔しました。マユリさん、ありがとうございました。』
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