蒼の瞳、紅の瞳
■ 1.寝惚ける

目が覚めると、いつかのように白哉の腕の中に居た。
私はいつ眠ったのだろうか?
何故白哉とともに眠っているのだ?
そんな疑問を持ちつつ、咲夜は起き上がろうとした。


しかし、白哉に抱きしめられているせいか、動くことができない。
動くと余計に動けなくなる。
抱き枕か。
私は。


『白哉?おーい、起きてくれ。』
咲夜はそう呼びかけるが、起きる気配がない。
どうするかな。
まだ早朝だ。
起きるには些か早い。


もう一度眠ってしまおうか。
だがよく眠っていたからか、目が冴えてしまった。
『白哉―。起きてくれ。白哉ったら!!起きろ!!』
咲夜は白哉を起こそうとじたばたともがいた。


「・・・五月蝿い。」
『やっと起きたか。私を離せ。これでは起きられないじゃないか。』
咲夜の声が聞こえているのか居ないのか、白哉はまた眠りにつこうとしている。
『こら、起きてくれよ。寝るなら私を離してから寝ろ。・・・聞いているのか?』
「・・・起きるにはまだ早いだろう。もう少し寝る。」
白哉はそう言って咲夜を抱きこむとまた目を瞑ってしまう。


『だから、私を離せと・・・。』
あぁ、もう。
何なのだ?この穏やかな寝顔は。
そもそも朽木家の当主がこんなに他人に寝顔を見せてもいいものなのだろうか。
寝起きが悪いのは相変わらずのようだ。
こういうところは百年たっても変わらないのだな。


仕方がない。
起きるのは諦めるか。
そう考えた咲夜は白哉の腕の中で大人しくしていることにしたのだった。


「・・・・さま。・・・姉さま。咲夜姉さま。起きてください。」
いつの間にか眠っていたらしい。
再び目が覚めると、目の前にはルキアの姿があった。
『・・・ルキア?』


「咲夜姉さま、おはようございます。そろそろお起きになってください。朝餉の時間になります故。」
『あぁ、おはよう。・・・白哉は?』
「兄様は朝の散歩に行かれました。そろそろ戻られるかと思います。」


『そうか。うーん、よく寝た。』
「・・・やっと起きたのか。」
「兄様。」
咲夜が伸びをしていると、白哉が現れた。


『やっと起きたのかってねぇ、君のせいで二度寝することになったんだぞ?』
「・・・?」
咲夜の言葉に身に覚えがないのか白哉は疑問符を浮かべている。
『君、覚えていないのか?君が私を抱き枕にするものだから、一度目が覚めたのに起き上がることが出来なかったんだ。』


「それは・・・覚えていないな。」
『寝ぼけていたのか?あれで?可愛くない寝ぼけ方だな。』
「私は可愛さなど求めておらぬ。」
『まったく、可愛くないなぁ。』
「それより早く支度しろ。朝餉の時間だ。」
『はいはい。すぐに行きますよ。』
[ prev / next ]
top
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -