蒼の瞳、紅の瞳
■ 37.地獄蝶の世話係


一通り挨拶を終えた咲夜は、七味煎餅とルキアへのお土産としてチャッピーのぬいぐるみを手に、六番隊に向かった。
『失礼するよー。』
その声とともに咲夜は隊主室の窓から侵入した。


『・・・あれ?白哉と恋次はまだ任務から帰ってきていないのだろうか?』
白哉の点てた抹茶を求めて六番隊へ来てみたものの、彼の姿が見当たらない。
どうしようかな?
咲夜がどうするか考えていると、ドタドタと慌ただしい足音が近づいてきた。


「失礼します!!」
その声と同時に扉が開かれる。
『ん?なんだ?』
「え?どちら様ですか?」
咲夜の姿を目にとめたその隊士はポカンとした顔をしている。


『あぁ、すまない。私は漣咲夜だ。勝手に邪魔させてもらっているよ。白哉を待っているんだ。』
「びゃく、や・・って隊長を呼び捨て!?」
そう言って理吉は目を見開く。


『あぁ、私は白哉が生まれたときから知っているからね。』
「そうでしたか。僕は理吉です。って挨拶している場合じゃないんだった。漣さん!地獄蝶がここに来ませんでしたか?」
『いや?来ていないが?』


「あれ?おかしいなぁ。こっちに来たと思ったのに。」
『ふふふ。君は地獄蝶の世話係なのか。』
「そうなんですけど、いつも逃げられちゃって。」
『では、私が呼んであげよう。』
「え?呼ぶってどうやって・・・?」


理吉の疑問に答えることなく、咲夜は指笛を鳴らしはじめた。
ピィーという高い音が鳴らされる。
すると、地獄蝶がひらひらと姿を現した。
そして、咲夜がもう片方の手を差し出すと、その地獄蝶はその指にとまった。


『ほら。彼女だろう?』
咲夜はそう言って指にとまった地獄蝶を理吉に差し出した。
「え?なんで?地獄蝶が音に反応するなんて聞いたことがない・・・。」
『ふふふ。これは音に反応しているわけではないのだよ。私の指笛の振動数が彼らの体がもつ振動数と類似しているらしくてね。そうすると、仲間だと思って寄ってくるのさ。』


「そうなんですか。というより、彼女って?地獄蝶の性別までわかるんですか?」
『ん?あぁ、そうか。普通の人には聞こえないのだったね。私はね、巫女の家系に生まれたから色々なものの声を聴くのが仕事なのだよ。だから他人より多くの音を聞くことができる。』


「へぇ。僕にも聞こえたらいいのに。そしたらみんなに逃げられなくて済むのになぁ。」
そう言った理吉に咲夜は笑みを零す。
『ふふふ。それは無理かもしれないなぁ。「いつも必死で追いかけてくるのが面白い」って彼女が言っているよ。』
「えぇー。それじゃあ僕はずっと追いかけなくちゃならないんですか?」


『そんなことはないさ。少し霊圧のコントロールが上手くなれば、彼らも自然と従うようになるだろう。みたところ、もうすぐだよ。』
「本当ですか!?やったぁ!!」
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