蒼の瞳、紅の瞳
■ 31.猛者


すでに四半刻ほど、カン、カンと木刀の打ち合う音が修練場に響いている。
やちるは飽きたのか寝ているようだ。


「す、すげぇ。何者だ、あの女。」
隊士たちは一角と対等にやりあっている咲夜をみて、驚きが隠せない様子だ。
「どうしたぁ?鈍ったんじゃねぇか?」
一角は咲夜にそう言った。


『そうかい?じゃあ、これはどうかな?』
刹那、咲夜が消えた。
それと同時に一角の頭部に衝撃が走る。
「いってぇ!!」
咲夜は飛び上がり、一角の背後に回っていたのだった。


『ふふん。私の勝ちだな。』
「くそぉ、もう一回だ!!」
そう言って一角が向かっていこうとした時、修練場の扉が開かれた。
「・・・あ?なんだ?珍しい奴が居るじゃねぇか。」


『やあ、剣八。弓親も。』
「咲夜さんじゃないか。生きていたのか。相変わらず美しいね。」
『ふふふ。ありがとう。弓親こそ相変わらずのようだね。』
「隊長!弓親!」
「面白そうなことやってんじゃねぇか。俺と戦えよ。」


『いやー、それはちょっと無理かな。私これでも病み上がりなんだよねぇ。』
「あぁ?」
咲夜の言葉に剣八が凄む。
『剣八って本当に隊長だったんだな。その羽織、よく似合うじゃないか。』
咲夜は剣八の様子を気にせずにそういった。
そんな咲夜に気をそがれたのか、剣八は胡坐をかいて座る。


「俺は、こんなもんいらねぇんだけどな。邪魔だし。山本のじいさんがうるせぇんだよ。」
「剣ちゃん、羽織なくして怒られてたもんね。びゃっくんと一緒に。」
やちるが起きたようだ。


『そうなのかい?白哉も?』
「そうだったね。確か京楽隊長もじゃなかったかな。あの時は瀞霊廷中に総隊長の怒鳴り声が響いていたよ。」
『ふふふ。見たかったなぁ。それ。まぁ、みんな元気そうで何よりだ。私はそろそろ行くよ。またくる。今度は酒でも持って。やちるには金平糖を用意しよう。』


「あぁ。それから俺と戦えよ。」
「楽しみにしてるよ。」
「また来いよ。次は勝ってやる。」
「えぇー、もう行っちゃうのー?」
『うん。じゃあまた。』
咲夜はそう言って修練場を後にした。
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