蒼の瞳、紅の瞳
■ 24.子どもの喧嘩


『余計なことって何さ?私は皆と楽しくおしゃべりしていただけだ。』
「ほう。そのようなことをいうか。聞こえていたぞ。」
『聞こえていたんじゃなくて聞いていたんだろ?まったく君は人が悪いよな。』
「兄に言われたくはない。・・・もう動いて平気なのか?」
ふと白哉は心配そうな声を出す。


『あぁ。烈さんのお墨付きをもらって来たからな。』
「そうか。」
『毎日朽木家からの差し入れもあったし?』
咲夜はからかうように白哉を見た。
「・・・その位当然だろう。」
白哉は決まりが悪そうに言った。


『ルキアも来てくれたしな。』
「あぁ。心配していたからな。」
『君も来てくれたから、よく眠れたし。』
「私が居なくても、よく眠っているだろう。」
『そうだったか?』
「そうだ。」


『まったく、君に世話になるとはなぁ。白哉も大きくなったもんだ。』
そう言いながら白哉の頭を撫で始めた。
副隊長たちがその様子に目を見開いている。


『君は、本当に、強くて、優しい子だよ。』
咲夜はそう言って笑う。
いつのまにか食堂に居る隊員たちもその様子に注目していた。


「・・・やめろ。」
白哉は不満げな顔をしている。
『なんだい?褒めているんだ。もう少し嬉しそうな顔をしないか。』
「私は子供ではない。」
白哉は拗ねたようにそういった。


『へぇ?この前私の腕の中でないっむぐ!?』
白哉が咲夜の口をふさいだ。
「余計なことをいうなといったばかりであろう。それに兄こそ、この間私の前でない・・・。」
白哉が言い切る前に咲夜は彼の口をふさいだ。
互いに口を塞ぎあったまま、にらめっこが続いている。


「・・・二人でなにしてるんすか?」
それを見てご飯を食べ終えた恋次が不思議そうな顔をしている。
イヅルと桃は二人の言い合いをしている様子に、笑いをこらえているようだ。


「っふ。阿散井君、お二人は仲がいいようだね。」
『「仲良くなどない。」』
「・・・ふはっ。もうだめ。面白い。」
そう言って桃が笑い出すと、イヅルも堪えきれなくなったのか笑い出した。
「・・・朽木隊長もそんな表情するんですね。子供の喧嘩みたい。」
桃はそう言ってまた笑った。


「・・・恋次。行くぞ。相手にしていられぬ。」
「はい、隊長。」
桃の言葉に我に返ったのか、白哉はそう言って背中を向けた。
『白哉、恋次いってらっしゃい!』
咲夜はそう言いながら手を振った。
恋次はそれに応えるように振り返ってうなずいたが、白哉は背を向けたまま去って行く。


『ふふふ。まったく、可愛い奴だ。』
何の反応も返されなかったにも関わらず、咲夜はそう言って笑ったのだった。
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